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第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ


『……っ、クシュッ』

くしゃみが出てしまったが、丁度お弁当を作り終わってからだったのでよかった。
まだ中也さんとは朝から顔を合わせてはいないけれど、調理中にくしゃみなんて出来っこない。

『…ケホ、ケホ……ッ』

朝からずっとこんな調子だ。
花粉症にでもなったのだろうかと思うくらいに咳が出て、喉が少しこそばゆい。

制服に着替えて歯磨きを終えると、丁度中也さんも起きてきたらしく、朝食をとった。

昨日の晩のこともあって少しぎこちない過ごし方にはなってしまったものの、朝はお互いそこまで強いわけではないので、まあ特別違和感があるわけでもなかった。

『…っ、……』

「……なんか言ったか?」

『な、何もっ!!』

危ない、中也さんの前でマスクもせずにくしゃみをするところだった。
なんとか口を閉じたまま堪えたからいいものの、マスクなしに得体の知れないものを中也さんのところへ飛散させるわけにはいかない。

しかしやはりくしゃみというものは手強いもので。

「今日何か朝から変だぞお前?どうした?」

『変なわけないじゃないですか…何言ってっ……~っクシュッ』

中也さんに髪をいじられている時に、遂に目の前で出してしまった。
やってしまった。
この人の前で“これ”をすると、大変な事になるというのに。

「……おい、今お前」

『な、何です中也さんっ、私別に何も……ケホ、ッ…コホ、』

「………」

誤魔化しきれずにボロが出た。
やめて中也さん、このタイミングで無言はきついよ私。

なんて心の中では平然と考えているが、中也さんからの目線が痛い。

『中也さん…?何で黙って……って、えっ!!?ちょっ、いきなり…や、あっ!!』

流石にずっと黙られている挙句、髪をいじる手までもが止まっていた為話しかけたのだが、その瞬間に中也さんに横向きに抱えられた。

妙な不安定感が怖くて中也さんにしがみつくものの、離してくれる気配もなく口を開くつもりも無さそう。

そんな中也さんは私を私の部屋に運んで、私のベッドの上に寝かせるように仰向けに降ろす。

『…………って、何で!?中也さん、私学校…あるし探偵社の方にだって……!ッ、ケホッ…ケホ、』

大きな声を出すとまた咳が出る。
上体を起こし、口元を押さえて暫く止まらない咳に耐えていると、中也さんが背中をさすってくれていた。
今日、喉がおかしい?
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