第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
『いいんですか?大人が私情で任務放棄して』
「任務も何も、僕一人で蝶ちゃんに勝てないのわかってるし!いいでしょー、乱暴したくないんだから!」
乱暴したくない。
まただ、また中也さんが思い浮かんでくる。
この人だって、昨日の件でもう分かっているはずだ。
テレポートに余裕を割けるほどの精神状態を保てなくさせれば…昨日の夜のように私に無理に嫌な思いをさせたり、手荒いことをしさえすれば、純粋な力の勝負となって私に勝てる可能性があるなんてこと。
『…嘘つき。私が逃げないようにする方法なんて分かってるんでしょう?』
「嘘じゃないよ、乱暴したくないって言ったでしょ。もう僕これ以上蝶ちゃんのこと泣かせたくないもん」
よしよしと頭を撫で始めるその手を、なんだかさっきまでとは打って変わってこちらが子供扱いされているような気分になったので、ペシッと軽く手ではたく。
「ええ!?何で!?」
『反抗期』
「反抗期なの!!?」
顔を逸らして拗ねたように言う。
私に乱暴したくないとか、泣かせたくないとか…この人が言うように、私の事が好きだからなのだろうか。
ただの親愛何かじゃなくて、そういう意味で好きだから、出来ないのだろうか。
一々する行動や言動が、今日はやけに中也さんと重なって見えて、頭が困惑するのを誤魔化すようにその考えを消し去った。
『………大人の男の人って皆こんななの?もうよく分かんなくなってきちゃった』
「うーん、そうだねえ…感情の動くままに行動するのを避けるようには子供より出来るように放ってるし。それに自分が好きな子になら尚更手は出しにくいかな?何より自分が気づかない内に相手の事めちゃくちゃにしたりなんかして傷付けちゃうと怖いから」
昨日僕はやっちゃったんだけどね、と困り眉でわらうトウェインさんを見ていると、また中也さんが脳裏をよぎる。
『めちゃくちゃにするの、怖いの?』
「蝶ちゃん…?………うん、それも自分より小さな女の子が相手となると、余計にだね。歯止めが効かなくなったら、乱暴してでもめちゃくちゃにしちゃうんじゃないかって思っちゃうし」
歯止めが効かなくなったら。
めちゃくちゃにしてしまうかもしれない。
全部全部、中也さんも言っていた。
『…やっぱりよく分かんないや』
「……僕は、あの男はこの僕よりもよっぽど君に思い入れがあると思うよ」