第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「それじゃあ改めまして、蝶ちゃん!組合に来ようよ!」
『嫌です』
「分かってたけどやっぱり辛い!!」
漫才のようなノリで一人騒がしいトウェインさんだが、見ていて中々面白い。
リアクションがオーバー気味な気はするが、良い意味で自由人なんだろう。
『そんなに執着するんなら、組合抜けて横浜に住めばいいのに』
「それだ!!」
いやいやダメでしょ、何納得しかけてんのこの人。
冗談だったのにとてもいい顔で反応されてしまった。
「って言いたいところだけど、それもまあ難しい話なんだよねぇ。今回の件が片付いたらやっぱり本国に戻らなくちゃだし」
『帰っちゃうんだ。静かになるね、明日あたりにでも帰る?送りましょうか』
「何でそんな声がいきいきしてんのねえ!?そんなにうるさいかな僕!!」
静かではないけれど、耳障りだなんて思っていない。
からかいがいのある人だと思うし…って、何か立原に似てるなその辺。
『…大丈夫ですよ、会えなくなるわけじゃないんですし。私は組合に行く気は無いですけど、トウェインさんはまた自分の意思で会いに来てくれるんでしょ?』
この状況がどう転ぶか分からないのは確かだが、組合が撤退してトウェインさんが海外の方に帰ることになったとしても、決して会えないわけじゃない。
「!そりゃあ勿論!なんなら蝶ちゃんの方から来てくれてもいいんだよ!」
『ああ、そっか。私の方から会いにも行けますね』
「えっ」
トウェインさんを思い浮かべて扉を作ればいいわけだし。
会おうと思えば会えるも何も、いつだって会えるじゃないか。
思った事を口にしただけなのに、何故か口をぱくぱくさせて赤くなるトウェインさん。
…金魚みたいなんて思ってちょっと面白かったのは秘密。
『何ですか。トウェインさんが言うから、それならこっちからも会いに行けるなって考えただけなのに』
「まさか蝶ちゃんからそんな風に言ってもらえるなんて思わなかったから…」
『嫌なら行きませんけど』
「ええええ!!来てよ!!?」
冗談です、とクスクス笑えばぷんぷんと怒った素振りを見せられる。
「まあ僕が連れて帰るつもりだけど!」
『中也さんから離れさせようとするトウェインさんキライ』
「僕無理に連れ去ろうとしてないよねえ!?」
キライと言われてからの焦り具合に、一瞬中也さんの顔がちらついた気がした。