第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「そうですねえ、とりあえずは皆さんのテストが終わって夏休みに入って…夏休み二日目のお昼にしましょうか!」
『!あともうちょっとだ…じゃあ、お願いしますね!!』
「蝶、結局見て決めることにするんでしょ?私もついて行ってあげてもいいんだけど、どうする?」
イリーナ先生もついて行こうかと言うが、先生も夏休みを満喫したいだろうからと思って大丈夫だと言った。
『ほら、多分いつも中也さんが被ってるのと似たようなのになるでしょうし…』
「ああ、黒のあの感じね。そういえば、あれ帽子自体はそんなに珍しいものじゃないけど、帽子につけてたチェーンは中々いいセンスのものだったわね」
イリーナ先生の褒める言葉に頬が緩む。
勿論中也さんの事を褒められたというのもあるのだが…
『そう、ですか…あれ、私が初めて中也さんにプレゼントしたものだったんです。お仕事中にも、邪魔にならずに身につけてて欲しいなって思って』
まだずっと付けてくれているのは私も分かっていたけれど、イリーナ先生のような人に褒めてもらえるようなものを渡せてよかったと心から思った。
「ああ、そうだったの!どうりで帽子とセットのものじゃないと思ったわ」
「中原さんは本当に白石さんの事が大好きなんですね、先生お話聞いてるだけでもニヤニヤします」
顔をピンク色にしてデレデレ顔になる殺せんせー。
『何で先生が…中也さんも私と同じ好きなら、どれだけ嬉しいか』
「……蝶、あんたもうちょっと自信持ちなさいよ。あの男が連呼しているっていうように、ちゃんとあんたは可愛いんだから」
イリーナ先生が突然真剣な顔で言い始める。
『可愛い…ならいいですけど』
「なんとも思っていない相手に、自分からキスなんてしないわよ、男は」
第三者からそう言われると、胸がドキリと大きく鳴る。
中也さんは、自分がそうしたかったから…したくなかったらするわけがないだろうと。
自分も私のものだからと言っていた。
なんとも思っていないわけじゃないのは分かってる。
でも、それが何なのか…分からない。
ただ子供扱いをされているわけでもなくなっているようだし、だけど私の気持ちには気付く素振りも見せてくれないし。
『中也さんは私の事大好きですからね…まあ、気長にアタックし続けますよ』
ヘラリと笑ってみせるも、イリーナ先生の顔はどこか曇った様子だった