• テキストサイズ

Replay

第2章 暗闇の中で


遂に一人で入水でも完遂したか、とも思いはしたが、中島さんがポートマフィアに狙われてる今、そんな馬鹿な事は流石にしないだろうと結論がつく。

そして、数日前の太宰さんとのやり取りを思い出した。


『……まさか、ね?』
「どうしたの蝶ちゃん?顔色悪いよ?」

『え、?あ、いえ大丈夫です!それより私、明日京都に修学旅行の下見に行かないといけないんでそろそろ失礼しますね、お疲れ様です!』

「う、うん、お疲れ様!」

すぐに谷崎さんと別れて、とりあえず社員寮に戻り、まずは服を着替えた。

勿論指輪は首に下げたままだが、最近来ていなかった探偵社スタイルの服を着て、外套を羽織り、太宰さん個人をイメージして扉を創る。

そして、意を決して開いてみた。

『……!だ、太宰さん!!』

そこは、一度だけ私も見たことのある、ポートマフィアの処刑場だった。
両手を鎖に繋がれ、何故か頬が腫れている太宰さんに駆け寄って、声をかける。

「んん、ん、?ち、蝶ちゃん!?よくここに来たね、心中しようか!」

『そんな事言ってる場合ですか!…で、これが作戦、なんですよね?中島さんの。』

太宰さんの顔が真剣なものへと変わる。

「まあ、その通りだ。だが心配はいらない。ちゃんと、死なないよう手は打ってあるからね。」

その言葉に胸を撫で下ろした。

「しかし、万が一、いや億が一!それが失敗しそうになった時には、君に連絡することにするよ。……私の外套の左ポケットの中にあるものを取ってくれるかい?」

言われるがままに、“それ”を取った。
見ると、それは小さな無線機の様なものだった。
とても小さい。

「修学旅行の期間中、念のためそれを持っていてくれ。まあ、多分何も無いだろうけど!……今日は来てくれてありがとうね。私は大丈夫だから、誰かが来る前に戻り給え。」

『わ、かりました……気をつけて。』

太宰さんに言われた通り、超小型の無線機を外套の内ポケットに入れ、深く頭を下げてから社員寮に戻った。


『太宰さんの事だから、大丈夫って言ってるんだし、大丈夫なんだろうなぁ……』

でも、

『太宰さんがあそこまでしてるっていうのに、旅行なんかに浮かれて……馬鹿みたいっ、』



しかし、楽しんでこいと言われていたことも思い出す。

とりあえずは明日の下見が優先だ。


____どうか、無事でありますように。
/ 2703ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp