第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
私は言った。
そう、言ったのだ。
恥ずかしかった事なんて全部一色他にして、簡潔に纏めあげてちゃんと言った。
「「「…え、それ前からじゃん」」」
『えええ!!?で、でもあんな事なかったよ!』
「いやいや、あんたね…あの男があんたに対して“親バカ”なのはもう皆に十分伝わってるわよ」
親バカだ、やけに私の事褒めちぎる…そう説明したのに、皆して当然のような反応をするばかり。
『だ、だってそれで、私の冗談だったのにデレ期に突入したとでも思っとけばいいとか…』
「!!聞きたかったのはそれよそれ!」
『うええ!?』
急に食いつきの良くなる皆に困惑する。
え、何で親バカはダメでデレ期はいいの!?
「あの男がそう言ったの?それで他に何か言われたりしてないの!?」
『何でイリーナ先生までそんな必死なのっ…、か、会社の人皆に私の自慢話してたとか、なんかとにかくおかしかっただけだよ!!』
自慢話という言葉に誰も驚くほどに反応を見せない。
「いや、だから蝶ちゃん。それ前からだって」
「うん、あの人割と誰にでも白石の自慢話してる」
『嘘!!?ちょっ、なんで中也さん……ああもう!!』
この様子じゃ、皆の前でも話した事があるのか。
だから親バカって言っても当然のようにして言われたのか、そうなのか。
『…で、でも本当におかしかったのっ!……何で最近ずっとあんな事ばっか』
「あんな事?」
珍しくずっと物静かだったカルマ君が聞き返した。
彼にはここだと一番話しやすいというのがある分、素直に口を開いてしまった。
『…………いままでそんなこと無かったのに…か、……可愛いっ、てずっと…』
そう、言ってしまった。
見事に全員の前で暴露してしまった。
「へえ、働いた甲斐あったなあそれは」
『え、何!?皆して何でそんなにやにやして……っ』
私の意識がない時や中也さんだけが皆といる時に自慢話をするという事をもう一度イリーナ先生に説明され、それに頷く。
「……んで、むこうもあんたの事そんだけ好きなら全部言ってやればいいじゃないって言ってただけよ」
少し含みのある言い方をされたが、それで腹をくくったなんて言っていたのかとも納得して余計に恥ずかしくなった。
『お、親バカにも程がある…恐るべし中也さん』
言った途端に一斉に溜息をつかれた。
「「「今度はこっちか……」」」