第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
そんな私を見てか、更に勢い良く質問の嵐が降りかかる。
「ちょっ!!何その反応!何かあったよね絶対!?」
『な、何もないっ…何もない……もん』
強く反論も出来ずに、先ほどまでのことを思い出して溢れ出る恥ずかしさから目に水分がたまる。
他の誰でもない中也さんからこれでもかっていうくらいに褒めちぎられて甘やかされて…くらいならともかく、あんなに可愛い可愛い連呼されると私まで頭がおかしくなってくる。
「……男子!!教室戻ったらビッチ先生捕まえるのよ!!」
「了解だ任せろ!!」
『ふぇ!!?何でイリーナ先生!?』
タイミング良く終礼のチャイムが鳴り響き、もう何も言えてない烏間先生を颯爽と通り抜けて校舎に駆け抜けていく男の子達。
器用な事に、ちゃんと烏間先生に挨拶もしてから行っている。
「何かあったって言ってるようなものでしょその反応は!」
「事情聴取しないとね?観念して薄情しよっか、蝶ちゃん」
体操服に着替えたのに使わなかったななんて考えても、女の子達からの発言にまたぶわっと熱が集まった。
『む、無理っ…人になんて絶対言えない!……だ、ダメだから』
「人に言えんようなことがあったんかぁ、そうかそうかあ」
私の肩に手を置いて悪魔の顔を浮かべる中村ちゃん。
笑顔だけど黒い、何考えてるのか一瞬で分かる。
「やっぱりこういう時の蝶ちゃん一番可愛いよねぇ…」
『なっ…も、もう無理!先戻る!!!』
「あ、蝶ちゃん逃げた」
倉橋ちゃんの言った言葉が中也さんのものとシンクロして、恥ずかしさに限界がきた。
「し、白石さん!中原さんと会ってきたんなら彼に連絡はしなくても…」
と走っていると烏間先生に聞かれたけど、立ち止まることなく走って校舎に戻る。
『だ、大丈夫です!あともうその名前今日出さないで烏間先生!!』
「……親の心子知らずというものか」
「「「違うと思うよ、烏間先生…」」」
「で?結局何があったのよ?とっととはいちゃいなさいって」
放課後になって、イリーナ先生監修の元、私への聞き取り調査……という名の尋問が始まった。
周りを皆に囲まれていて、とてもじゃないけど帰れそうにない。
殺せんせーまで混じっているし、なおのこともう逃げられる気がしない。
『ほ、ほんとに大した事じゃない、の…』
「なら早く言いなさいって」
『うっ…』