第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
仕返しだと言わんばかりにそんな爆弾を落としていくから、してやられた感が半端なく募る。
『あ、あああ……さ、最近本当に中也さんおかしいよ、っ…?変なもの食べた!?』
「あ?俺がお前が作ってくれた美味いもん以外の何かを口にするわけがねえだろうが」
『そうじゃなくて!!……って、ほらまたそんな事!?』
ダメだ、何言っても私を恥ずかしくさせるような事ばっかり付加させて返される。
親バカなのかただ甘いだけなのかよく分からないけど、いいようにあしらわれてるのは確かだろう。
「お前が嫌じゃねえんならいいだろが。まあ、お前が言うところのデレ期とやらに突入したとでも思っとけ」
『へっ!!?』
今まで断固としてデレ期だなんて事言わなかったのに、私の冗談だったのに…あの中也さんが、そんな事を口にした。
「なんだよ、人が折角素直にしてえ事しようと腹くくったってのに」
『ど、どういう…中也さんに一体何が……』
頭がフリーズして上手く働かない。
あの鈍感モンスター中也さんが、デレ期なんて言葉を覚えて…自称し始めるだなんて。
「言っただろ、お前に何か思う度に言ってたらずっと言い続けることになるぞって。なにやら言ってほしそうに言ってたからもういいかと思って、我慢せずに言ってんだよ」
『で、でも褒めてなんて言ってないっ…そんな、恥ずかしい事ばっかり!!』
「んなもん俺が褒めたいからそうしてるに決まってんだろ。お前がそんな反応すんの分かってっから言ってんだよ阿呆」
私が嬉しくなりすぎておかしくなってしまうようなことを平気で言いのけ続ける中也さんには、もう暫くからかうのはやめておこうと強く強く決意した。
身が持たない。
『……阿呆は中也さんだよ』
「んじゃ馬鹿だ」
『馬鹿も中也さん!!』
「やっぱ両方お前だよ」
意味の無いやり取りを続けていると、中也さんにポン、と背中を叩かれた。
「ほら、お前もうこれで充電とやらは出来ただろ?行ってこい」
『帰ったら覚えといて下さいよ?もう…』
お弁当を片付けて車の中で扉を作る。
「……気を付けてな。絶対帰ってこいよ」
『!!当たり前、ですっ…』
中也さんから身体を離して扉を開き、入る前にもう一度だけ中也さんに抱きつく。
『大好き…行ってくるね』
呆然とする中也さんを放って、扉に入った。
「……敵わねえなやっぱ」