第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
耳を塞いでいた中也さんにまで聞こえていたのか、彼は肩を大きくビクつかせてこちらを青い顔で見た。
かくいう私も国木田さんの声を携帯から直接聞いたために、頭がクラクラする。
耳がキーンとしつつもなんとかお説教モードに入っているであろう国木田さんから理由を聞くため、返事をする。
『ちょ、国木田さん声大きいですって…今外なんですよ?私』
「あ、ああそれはすまなかった…」
ゴホン、と咳払いを一つして落ち着いてくれたようで、私がどうして馬鹿なんですかと問う。
「ああそうだ、それだ。白石、谷崎から聞いたがお前…壁を使ったんだってな」
あれ、この話さっきも中也さんとしたような。
『えー…で、でも無理してませんし全然大丈夫で』
「前に壁を使ったら俺にもちゃんと連絡を入れろと言っただろう!それに敦は谷崎に言われて気付いたそうだったが、お前一般人の人と敦…それに谷崎にも強いものを使ったらしいじゃないか」
言いかけてまた遮られる。
そして言われた内容がその通り過ぎて、またもや中也さんの時と同じようにギクリとした。
谷崎さんめ、次からちゃんと口止めしとかなくちゃ。
『いや、谷崎さんと中島さんに連絡入れたし大丈夫かなって』
「言い訳は無用だ!!…それでお前、大丈夫なのか身体は」
『勿論、大丈夫ですよ』
まあ中也さんに飲まされたサプリの効き目があるから楽になったのかもだけど。
「そうか、ならそこはいい。で、今日はどうして横浜にいたんだ?平日に街中で谷崎や敦と出会うだなんて…まあ組合の異能力者との戦いでは助かったそうだが」
『あー…ほら、朝の朝刊で騒がれてたでしょう?ポートマフィアのビルが消滅したって』
ああ、そうだなと国木田さんは頷く。
『それで昨日朝刊にメッセージを載せるとか言われてたなと思って、とりあえず中島さんの近くにいた方がいいかもって思ったんですよ』
勿論こんなものは今考えついたでまかせだ。
中島さんがどうでもよかったという理由ではないのだけれど、結果オーライだったし大丈夫だろう。
「そういう事か…まあ今回無事だったからいいが、出来るだけ一人ではいないようにしろ。お前も狙われているんだぞ」
『…はい。でも大丈夫ですよ、心強い人達がいてくれてるじゃないですか!』
陽気に言ってみせる。
国木田さんならこれで大丈夫。
良い意味で単純な人だから。