第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「蝶ちゃん、こんなところにいたのかい!?どうしてまたこんなとこに…探偵社の方に戻らなくても良かったの?」
路地裏で首領と再び会って、首領を待っていた理由を言おうと口を開く。
『だって、組合の刺客の元に首領を連れて行かないと、指示がないままじゃ皆困っちゃいますから』
「蝶!…リンタロウ!何で蝶にばっかり任せてるのよ?それ位しっかりしなきゃ!」
エリスちゃんを宥める首領を見ていて、毎度の如く私の味方になってくれるエリスちゃんに感謝をする。
『……じゃあ、こっちなので着いてき「蝶ちゃん」…はい?』
「君はここで待っていたまえ、ここからそう遠くは無いのだろうし」
『ちょっ…そんな、何で私だけ!!』
私、邪魔になるのかな。
首領も私の事を必要としてはくれないのかな。
朝中也さんに叱られた時の事が脳内を巡り、つい必死に叫んでしまった。
「…分かっているのだろう?組合の刺客が今、どうなっているのかを。ポートマフィアは探偵社とは違う」
『分かってます…首領だって、知ってるじゃないですか、私の事』
首領は私の言葉に少し考える素振りを見せてから、中原君に怒られるかもしれないよと私に言う。
『…………中也さんなんか知りません。私だって怒りたいことあるんですから』
「おや珍しい。喧嘩でもしたのかいその様子だと」
『別に…』
「ふむ…じゃあ行こうか。でも、やはり君には僕もあまり見せたくはないかなぁ」
『私に甘くするのやめてくださいよ』
ごめんごめんと笑顔で言う首領だが、本当に私の事を思って言ってくれているのだろうと分かる。
けれど、私だって元殺し屋…こんな、人の屍なんて、もう山ほど見てきた。
山ほど、その血に手を染めてきた。
「…これが組合の刺客かね」
中也さん達を移動させた先の、恐らく組合の刺客が惨殺されているであろう場所に首領を連れて行けば、真っ先に中也さんと目が合った。
しかしこちらがすぐに逸らせば、相手も首領の前なので帽子を取って跪く。
黒蜥蜴の三人も、梶井さんも黒服さんも、そして私も膝をつく。
「はい」
「我々もまた困難な戦局というわけだ。最適解が必要だね」
組合の刺客の男の人は、予想通りに酷く血を流して、地面に目を剥いたまま倒れ、殺されていた。
無惨な最期だとは思うがポートマフィアに喧嘩を売ったんだ、仕方の無いことだろう。