第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
ルーシーさんの悲鳴が響き渡り、ドアが閉まる直前に辺りが眩しい光に包まれる。
静かだった所から一変、気が付くと地面に座り込んでいて、周りから車のクラクションの音が鳴り響いていた。
中島さんや首領だけでなく、捕えられていた人々…賢治さんとナオミさんも、近くで意識が戻っている。
そんな中、ルーシーさんを見つけて話しかけに行った。
首領に止められかけたけれど、それでも頼みたい事があったからだ。
『ねえ、ルーシーさん。貴女に頼み事をしたいのだけれど、いいですか』
「……なによ、私の事を笑うつもり?だいたい私に何をさせるつもりかしらないけどねぇ…」
『お願い…トウェインさんにありがとうって、伝えて下さい。それだけでいいから』
ルーシーさんが呆然として、呆気に取られているうちに彼女から離れる。
中島さんが話しかけようとこちらに向かってきていたから、とりあえず当たり障りのない程度に首領が見える位置にいようと考えたのだ。
「もおおエリスちゃん!!大丈夫だったかい!?どこに行っていたの…心配したんだよ!?」
首領の相変わらずの声が聞こえて、とりあえずエリスちゃんに見られないような所に移動して様子を伺う。
ルーシーさんは中島さんに話しかけられてから、どこかに走って行ってしまった。
「急に消えたら、リンタロウが心配するかなって思って」
赤いドレスを身にまとう可愛い少女は、悪戯っぽく目を輝かせて言う。
まあそうだね、うん、確かに天使のように可愛い子だあの子は。
しかし彼女の言葉には続きがあった。
「…リンタロウを泣かせたくなった」
「!!酷いよおおおエリスちゃん!でも可愛いから許す〜!!」
その様子を見て中島さんも笑顔になる。
すると、そこに鏡花ちゃんが現れて、中島さんに心配したと抱き着いた。
ここには首領がいるのに大丈夫なのかと内心心配しつつも、エリスちゃんに話しかけられない方がいいと思ったので聞き耳を立てるだけにしておく。
しかし、中島さんに心配したと言える彼女に、少しだけ羨ましさを感じる。
……私もああやって、素直に何でも言えればいいのに。
私だって、一人で危ない所に行かないでって、私を頼ろうとせずに置いてかないでって、言えたら…
少し気分が暗くなったので、もう学校に行きますと中島さんと谷崎さんにメールを入れて、建物の影に入って首領を待つ事にした。