第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「!静止してる…時間が止まってる?」
白い扉に付いた窓を覗いた中島さんがそう言った。
それに続けて女の人が説明を入れる。
「アタシの名前はルーシー。ここは私の異能力で作った空間なの!でも安心して?いつでもそのドアから出られるわ!お仲間を助けたく無かったらの話だけど」
「!どうするつもりだ!!」
谷崎さんはかなり興奮した様子で食ってかかる。
対して相手…ルーシーさんは冷静なまま。
「簡単よ?この部屋のアンと遊んでほしいの……おいで、アン」
ルーシーさんの声と共に、アンと呼ばれる生命体が……大きな大きな女の子の人形が、意志を持ったように動きながら飛び出してくる。
そのアンに周りの人達は恐怖して狼狽え始める。
「アンは遊ぶのが大好きなの。少し甘えん坊だけど可愛いのよ?」
アンの緑色の目が光る。
その瞬間、周りの人達は一斉に悲鳴をあげながら白いドアの方へと駆け出していった。
「ただしドアから出たら、部屋の中での事はぜーんぶ忘れちゃうわよー?よろしくてー?……あらあら、残ったのは四人だけ?」
呆れた様子のルーシーさんは、私の姿を捉えると形相を変えてこちらを向いた。
「貴女…そう、いいところにいたわね。ついでに貴女も連れて帰らせていただこうかしら?」
『ご冗談を。そんな事させませんし……貴女が私相手にそんな事が出来るような人間には見えません』
挑発するように言えば、中島さんと谷崎さんが間に入る。
「……トウェインのやつ、こんな子の何がそんなにいいんだか」
『!トウェインさんは無事なの?』
「なあに?貴女トウェインともう会ったの?知らないわよ、あいつ、一人でどっか行くって聞かなかったんだもの」
トウェインさんが組合の人に何か制裁を受けたりしていないか気になっていたが、彼女の様子を見るにそれは無さそうだ。
ホッと胸を撫で下ろしていると、中島さんが下がっててと言う。
「貴方も早くここから逃げた方がいい。ここは危険です」
そして首領に向かって逃げてと言うが、首領はそれに従わない。
エリスちゃんという女の子を探している。
あの扉の先にいるかもしれない、もしそうだとしたら、ここにいなきゃ後悔する。
そう言う首領に、中島さんは分かりましたと心配そうな顔を浮かべる。
「……蝶ちゃん、何かあったらその人を守れるように、その人の側についてて」