第1章 蝶と白
__椚ヶ丘中学校 職員室__
コンコン、とノックをしてから職員室の戸を開く。
『失礼します。武装探偵社から、依頼で来させてもらった者です。』
そこにいたのは、スーツを着たいかにも真面目そうな男の人と、スタイル抜群で美人な金髪の女の人。
「!そうか、君が……話は全て、そちらの社長さんから聞いてるよ。能力の事に関してもちゃんと聞いている。俺が防衛省の烏間だ。よろしく頼む。」
「私は、イリーナ・イェラビッチ。英語を担当してるわ。よろしくね。」
『はい、よろしくお願いします!確か、依頼内容は暗殺の参加と、危機的状況に陥った場合の生徒の安全確保ですよね。』
とりあえず依頼内容を確認しておく。
暗殺の参加……というより、メインの依頼は後者の方らしい。
まあ、私の能力ならぴったりなのかもね。
「そうだ。危険な事を任せてしまってすまない。基本的には我々が何とかするが、いざというときは…」
『大丈夫ですよ、能力使いますから。絶対に生徒の皆さんを守ります。』
守る、というのは、超生物である殺せんせーとやらからではない。
その殺せんせーを狙ってくる暗殺者達が生徒に被害をもたらそうとする場合に対処出来るよう、私が呼ばれたというわけだ。
「流石、武装探偵社というだけあって頼もしいな。まあ君も中学生なんだから、あまり依頼の事ばかり気にせず、普通に学校生活を楽しむといい。」
「ねえ、カラスマ?私、なんだかこの子のこと、見たことある気がするのよねぇ…」
イリーナさんの言葉に疑問が浮かぶ。
『え、と…多分初対面だと思います。』
こんなに綺麗な人、出会ってたら忘れっこないと思うし。
「そう?」
『はい。…そういえば、烏間さんとイリーナさんのことは、何とお呼びすればよろしいですか?』
忘れかけてた。一応、生徒として通うわけだし、さん付けはやっぱりおかしいよね。
「俺は…生徒からは烏間先生と呼ばれてるが。」
「私は、…………な、何でもいいわよ?」
何故か動揺してるイリーナさんが気になる。
とりあえず先生って付ければ問題なさそうだな。
『なら、烏間先生とイリーナ先生で!改めてよろしくお願いします。』
私がそう言った途端、イリーナ先生が抱きついてきた……胸で圧迫されて苦しい。
「あんた、なかなかいい子じゃない!気に入ったわ!あいつらにもこれくらい可愛げがあれば…」