第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「蝶…でかした!!頼めるか!?」
中也さんの声に機嫌を良くして、彼に応えるように顔を明るくする。
『勿論ですよ、中也さん。位置は?』
「梶井の所だ、全員頼む!手前ら、驚いてもこっからは声出すんじゃねえぞ!」
全員がごくりと喉を鳴らしたのを聞いて、私の周りに集まってきてた構成員の全員を梶井さんの元にテレポートさせる。
梶井さんが驚きの声をあげてはいけなかった為、中也さんが彼の口を大人しくなるまで手で塞いでいた。
『……じゃ、私これを首領に伝えに行ってくるんで』
「こっちは任せろ。お前のとこには行かせねえよ」
『!…はいっ』
嬉しさに胸が高鳴って、もう一度、今度はいつもの大きさの扉を作って首領の元へと移動した。
『首領っ』
「!!蝶ちゃん!なんでこんなところに?」
首領の元に来たはいいが、エリスちゃんの姿が見当たらない。
そのせいかかなり首領もおろおろしている。
『……緊急招集、私何も聞いてなかったんですが?』
しかし、とりあえずは私の怒りをぶつけるのが先だ。
この人、私に甘いから全然頼ってくれないんだもの。
「そっ…それは仕方ないだろう?探偵社員の君にそんな事頼めるわけが…」
『私を呼ぶのが合理的判断だと分かってるはずです。中也さんにまで私に知らせないようになんてして…とりあえずさっき、恐らくビルをどこかにやってしまったであろう犯人は見つけたので、中也さん達に任せてきましたけど』
むくれたようにして言えば、首領は驚いた顔をした。
「蝶ちゃん、もう見つけちゃったの!?…というより、聞いていないのかい?中原君が、君をここに近づけないようにしたがったのだよ?」
『え、それ…どういう……!首領、近くに探偵社の人が数名います。どうしますか?』
首領の言ったことも気になったが、近くに中島さんと谷崎さんの姿を見つけた。
一応首領はポートマフィアの頭だし、どう動くのか分からないから確認をとる。
「ふむ…ああ蝶ちゃん、今の僕は首領じゃなくて、ただの元街医者の森鴎外だよ」
『!…了解』
首領の言わんとすることを聞き取って、そのままそこに暫くいた。
すると私に気付いた二人が、こちらに駆け寄ってくる。
「蝶ちゃん!よかった君はいて…」
『谷崎さんに中島さん!私はって、どういう事です?』
「落ち着いて聞くんだ…賢治君とナオミが消えた」