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第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ


『嬉しっ!!?』

「ああそうだ。それとも何だ、お前まだ俺にキスされてえかここで」

中也さんがとんでもない事を言い始めるので、驚いたまま表情が動かせなくなって、耳まで熱くなる位に熱が集まる。

「…あんまそういう反応してくれんじゃねえよ。ほら、腹減ったし早く帰んぞ」

『……しないの?』

あれ、何言ってんの私。

「っ、…お前それわざとやってんじゃねえだろうな」

『送料は中也さんからのキスになります…なんちゃって』

冗談風にまとめあげて、すぐに家までの扉を作った。

『ほら、帰らないんですか?中也さん』

「お前なあ……後で覚えてろよ」

『えっ…………ちょ、なんかすっごい嫌な予感が。あの中也さん、怒ってます!?』

無言で私を抱えたまま、やけに早足で扉に向かう。

「送料は後払いな。とりあえず飯だ」

『なっ…〜〜〜冗談っ!!ですって!!』

扉に手を掛けて、私の方にニヤついた笑顔を浮かべて素晴らしくかっこよく言いのける。

「気絶しても文句言うなよ?釣りはいらねえ、多めに払っといてやる」

『や、やっぱり私まだもうちょっとここに……あ、ああ閉めないで中也さん!冗談言ったの謝りますからああ!!』

家に入って私の作った扉が閉められそうになる。
やけにゆっくりとその動作をするあたり、多分この人言ってること全部本気だ。

「冗談?俺には何のことかさっぱりだな」

『そ、送料とか取らないから!!なくっていいよ!じゃないと私恥ずかしっ……!!』

言いかけて口を手で押さえた。

「したいっつったのはお前だろうが…んじゃ俺からの小遣いだとでも思っとけ」

『あっ……ちょっ、閉め!!?』

パタン、と音を立てて扉が閉められた。

だめだ、逃げ場がない…というよりもう逃げられない。

「だから言ったろ、俺の事下手に煽んじゃねえって」

『煽ってない、そんなことしてないっ!』

身体を縮こまらせていれば、中也さんがおでこを私とくっつけて顔を覗き込んできた。
目を逸らせなくなったから、反射的に目をギュッと瞑る。

すると突然、額から中也さんの額が離れて柔らかくて暖かいものが触れた。

思わず目を開くと、優しい目をして笑う中也さんの顔が見える。

「冗談っつうのはこう使うんだよ馬鹿……下手な冗談付け足してねえで強請っとけ…………って蝶!!?」

頭がショートして煙を出した。
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