第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「だからお前はっ……ああもう、そんなんだから男にすぐ襲われかけんだよ!聞けば転校生にも額にやられたとか赤羽に首触られたとかっ、立原にもばれたとか!!」
さっきのあいつにも、と言われて、恥ずかしい想像が脳内を埋め尽くし、中也さんから目を背ける。
「完全に襲われかけてんだよ…っ、分かれそんくらい」
『……っ、よ、要するに女の子扱い…?』
「あああ!!惜しいけど違ぇ!!」
何故か中也さんの方が真っ赤になって頭を抱える。
「手出されてんだよ!男共の思うように好き勝手されてんだ!!」
『じゃあ中也さんは私にいっぱいキスしたかったの?』
「んなもんそうに決まって……っ!!!?」
冗談で聞いたつもりだったのに、肯定するような反応をするこの人に、胸が大きく脈打つのが分かる。
『…ねえ中也さん、私の事好き?大好き?』
目なんて合わせられないけど、今度こそ…教えてくれるかな?
私の事、女の子として見てくれるかな?
「……っ、ああそうだよ!お前も俺の事好きだろうが」
『私は好きだよ、大好きだよ。…中也さんの好きは、どっちなの?』
どっち、と聞いた途端に中也さんから焦りの色が消え、私に視線が突き刺さった。
「どっちって…どういう事だ」
『…な、何でもないっ』
「嘘吐け。何でもないならこっち見ろ」
何でもないって意地張って、中也さんの方に顔を向けるも、一瞬だけ目を合わせてそれからは顔を上げられなくなる。
聞いちゃいけないこと聞いちゃった…?
「……何だ?好きか大好きかで言えば勿論でけぇ方になるが」
ああ、良かった。
変に問い詰められなかった。
『ん…はい』
顔を見せないようにと抱き着く。
「んだよ、んな当たり前の事」
気づいて欲しいけど、いざそうなるとやっぱり怖い。
やっぱり暫くは、私の事になんて気づいてもらえない方がいいのかな。
『…うん、ごめんなさい。大好きだよ』
「………知ってる。ほら、帰んぞ。冷えんだろ」
『中也さん暖かいから…っ、きゃ……!?』
私は今怪我も何もしてないし、歩けないというわけでもない。
なのに横抱きにされて、中也さんは立ち上がる。
「んな事ばっか言うんじゃねえって。ほら、あの担任もう自分の家帰るとか言ってたし、お前に頼らねえと俺帰れねえんだが」
『な、なら…』
「…嬉しい事言ってくれる奴にはこうすんだよ」