第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
ここに、どうして中也さんが?
トウェインさんのごめんねは、私にあんな風にするつもりはなかったってこと?
中也さんがここに向かって来てるのを分かってたってこと…?
『……っ!トウェインさん、何で…何であんな事』
上体を急いで起こして、トウェインさんの方を向いて焦って口を開いた。
わざと?わざとあんな事をしたの?
でもいったい、何の為に……?
「蝶、お前ちょっとそこにいろ。後、あんまりこっち見ねえ方がいい」
中也さんは倒れたトウェインさんに近づいて胸倉を掴み、殺気を込めた瞳で射抜くようにトウェインさんを睨みつける。
「手前、何であいつを無理矢理押さえ付けてた…組合のもんか?蝶に、何をするつもりだった」
「お察しの通り、僕は組合の者だよ。そして何をするつもりだったか……ちょっと君は来るのが遅かったんじゃないかな?こんな時間になって現れたって…」
トウェインさんの口から放たれようとする言葉が、瞬時にわかった。
足が動かない…走ってそれを止めに行けない。
『やめてトウェインさん!言わないで!!』
「蝶ちゃん、悪いけどこれは俺の宣戦布告なんだ。邪魔しないでくれ」
「蝶?お前やっぱりなんかされたんだな!?」
中也さんに何をされたんだと言わんばかりの目線を送られるけれど、何を言えばいい?
どうやって、伝えればいい?
伝えなくちゃ、いけないの?
『な、んにもない……っ、私何もされてなんて…』
「ちょっと蝶ちゃん、それは酷いんじゃないの流石に?折角俺がここまで一人で会いに来て」
やめて
「君にプロポーズして」
やめて…
「蝶ちゃんの事を抱きしめて…」
『言わないで、お願いだからっ!!……お願いします、からっ』
私の叫びは虚しく響いて、トウェインさんは中也さんの目の前で言った。
「____君にキスまでしたのにさぁ」
聞きたくなかった。
だから目を瞑って、耳を手で塞いで顔を背けて…中也さんの方を見たくない。
中也さんがなんて言うのか、聞きたくない。
『ふ、っうう…や、だ……違う、違うのに…………っ、…』
外の音なんて聞こえない、聞きたくない。
「…それであいつはあんなに泣いて、苦しんでんのか」
「それもあるだろうけど、一番はやっぱり君じゃないかな。顔が見せられない、話せないって随分思い詰めてたし……っつ!!」
「俺が殺す前に失せろ」