第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「じ、冗談だよ、冗談…っ、てぇ〜……」
『冗談に聞こえないんですよもう。…いいんですかトウェインさん、今なら私を攫う絶好の機会なんじゃ?』
拗ねた口ぶりで言うものの、気にしてないのかトウェインさんは笑って返す。
「はは!そんな事言って、どうせ来てはくれないんでしょ。それに僕、もし君が来るっていっても君が辛くなるような事はしたくないんだ。本当だよ」
『私情挟みすぎ。私に甘すぎ。よくそんなので仕事なんて……っ、ちょっ』
両腕を屋根に押さえ付けられて、上からトウェインさんの顔が近づけられる。
また、何かをされてしまうのか。
キスだとしてもそうじゃなかったとしても、相手の意図が読めなくて怖い。
目をギュッと瞑って唇を噛み締め、何かに耐えるように身体を力ませた。
「……そうだよ、僕はちょっとでも我慢を解いたら、君をどうにでも出来ちゃうくらいに危険な奴だ。男だからね」
『ど、いて…っ』
懇願しているけれど、動いてくれる気配は全くない。
「ごめんね、怖がらせたいわけじゃないんだけど…僕なら君の言うあの男のように、寂しい思いなんてさせないのにって。そう考えてたら余計にイライラしてきてさ」
『ひっ、…あ、やぁ!!やめてそこ、はっ……』
首筋に唇をつけて、滑らせるようにキスをされる。
腕を上から押さえつけられていて、首を這い回る刺激のせいで脚も自分のものじゃないみたいにビクビク震えて、力を入れているのに全然敵わない。
「なのに蝶ちゃん、あの男の事が好きでしょ?…それなのに俺の事嫌いになりきれないとか、本当俺を惑わせるような事言ってくれるよね」
『ぁ、あ…そんなつもりじゃっ…!!トウェイン、さん……?』
トウェインさんが顔を上げて、私の目の前に持ってくる。
鋭い瞳で捕えられて、目が離せない。
「………もっかい、しよっか」
『もっかいって…!まさか、っ…やだ、やめてっ、お願いだから!!』
悲鳴にも似たように声を上げて、顔を横に向ける。
「………………怖い思いさせちゃって、ごめんね」
『…え、っ………』
トウェインさんが優しくそう言ったかと思えば、バキッと大きな鈍い音が聞こえて、顔を正面に戻す。
「っ…ぐあ……!!」
見ればトウェインさんは、口を切ったのか血を出して殴り飛ばされていた。
「手前……蝶にいったい、何してやがる」
『な、んで……』