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第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ


『…何ですか、なんで戻ってきてるんです』

「いや、女の子だし…蝶ちゃんこういうの慣れてなさそうだったから、考え込んでるんじゃないかなーって」

よっ、と軽快に屋根の上に飛び上がってきて、トウェインさんが隣に座る。
そっちの方を見たくなくて、顔を背けて横を向いた。

『別に、悪気があったわけじゃなかったんでしょう。ほっといてください』

「ほっとけないよ。こんな時間に女の子一人で外にいるんだし…」

何より、と言って、私の身体に布がかけられる。
びっくりして身体を少しビクつかせたが、すぐに薄手のブランケットだと認識した。

「寒そう…暖かくしてないと、ダメだよ」

『寒くなんかない…っ、暖かくなんてしなくていい!』

嘘。
私を心配して誰かが来てくれたって事だけに安心してるくせに。

「嘘ついちゃだめでしょ。俺のせいで考え込んでるんだから、俺にちょっとくらい宥めさせてよ」

『……何の用』

誰にも相談なんて出来ないこんな事で、張本人のこの人が来て、内心ホッとなんてして。

「先走っちゃった男が、泣かせちゃった女の子にごめんなさいするのは普通でしょ。せめて蝶ちゃんが俺に怒ってくれでもしたら、もうちょっと蝶ちゃん楽になれるのに」

『私、組合は嫌いだよ。でも、私を好きだって…知ってるって言ってくれるトウェインさんのこと、嫌いになりきれない』

彼の想いは聞くほどに必死さが伝わって、キスされた事に対しての怒りなんて起こらなかった。

『そんなとこより、させちゃった私が悪いの。避けられなくて…っ、中也さんの事思い出せなくなっちゃった』

「………君は何も悪くない。それだけははっきりした事実だ。あの人とは、できないの?」

『言えるわけないでしょ。…そんなの、付き合ってるわけでもなければ向こうは私の事なんかただの子供だって思ってるんだから』

年齢の壁が、一緒にいた幸せな時間が、それの邪魔をする。

「そんなことないと思うけどな…ほら、僕あの男と同じ年齢だし」

『へっ、?』

驚きすぎて、トウェインさんの方に振り返った。

「うん、本当に。蝶ちゃんをただの子供としてなんて、全然見れないよ?」

『………でも言えないもんそんな…キスして下さいなんて。他の人にされたからなんて』

「じゃあ、何も言わずにしちゃえば?」

悪びれもせずに笑顔でいうトウェインさんのお腹を一発殴った
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