第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「え、白石、そのー…初めてじゃないって?キスが!?」
岡島君に見事に反復される。
よくよく考えてみれば墓穴を掘ったようなものだった。
クラス皆の前で暴露するだなんて。
「お相手は…え、やっぱり中也さんだったりするの?やけに落ち着いてたし」
カエデちゃんが悪気の無い顔でストレートに言ってきた。
そうだよなんて言えないし、初めてしてもらった時を思い出して顔に熱が集まる。
「う、嘘だろ……希望の光があぁ…!!」
「そうなの!?そうだったの!!?」
けど否定も出来ずに目を俯かせるだけの私の様子で皆察したのか、一部の子達は泣き崩れ、それ以外の子達は目を見開いて驚いていた。
「え、蝶ちゃん、それいつの話?…てか中也さん、蝶ちゃんになんで」
『……ちょっと、色々あって…律がここに来たばかりの頃に。なんでって聞いたけど、教えてくれるのはまだ先みたい』
「…あの人そんな時にもう……?」
皆してそんな時から?と話しているが、私は話が読めなかった。
それどころか、本当にあの時中也さんが、仕方なくとはいえ初めての相手になってくれていなかったら。
考えるだけで寒気がする。
トウェインさんだから嫌だとかいうわけじゃなくて、中也さん以外の人としてしまったという事実が、私の力の至らなさを示している。
あれだけ中也さんの事が好きだなんて言っておきながら、唇とられちゃったよ…
なんて考えていれば、控えめな音量で携帯が鳴る。
『電話……?……っ、ちょっと外出てきます』
「あ、ああ」
「では皆さん、授業を再開しますよ」
殺せんせーの言葉を最後に、急いで校舎から出て液晶に表示される名前を見る。
意を決して、その人…中也さんからの電話に出た。
『……はい、もしもし。蝶です』
「!良かった繋がって…太宰の野郎から聞いたんだが、お前椚ヶ丘だよな?組合の連中が来たりしてねえか!?」
組合…といっても、トウェインさんは本当に一人で個人的に来たかったらしいし、ちょっと戦いはしたけどまあ何ともないし。
何とも、ないもんね。
『はい、全然こっちは大丈夫です!もし来たとしても、能力使って返り討ちにしてやりますよ』
「そ、うか… だがお前、一人でそっちいて本当に大丈夫か?万が一何かあったら____」
『…その時は、中也さんが助けに来てくれるでしょ?』