第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
しかし残りの怪我の位置というのが、どうも私じゃあちょっと見るには勇気がいるところばかりなようで、口をつぐんだ。
包帯と消毒液、そしてコットンとピンセットを置いてトウェインさんの方に身体を向け、目を合わせないようにしながらももぞもぞと言う。
『あの…そ、その、太股とかはすみません、流石に服脱いでもらうわけにもいかないんで……私壁の方向いてますから』
「ん?ああ、そういう事。別に僕気にしないのに」
私が気にするのよ、私が…!!
何!?海外の人ってやっぱりその変軽いの!?
トウェインさんの後ろに背中を向けて腰掛け、顔を手で覆う。
もう、ダメだ。
これ以上この人の身体を視界に入れるのは私に良くない、恥ずかしすぎる。
「…はいはい、蝶ちゃん恥ずかしがり屋さんなのはよーく分かったし、大人しく自分でするよ」
保健室に、消毒をする音だけがこだまする。
そしてトウェインさんが自分の服を着直したような音がした後、後ろから抱きしめられて、トウェインさんの顔が肩に乗せられた。
『へ、っ…な、何を』
「んーん、俺のためにありがとうねって言いたくて」
やけに真剣な声色の彼の声が耳元で低く響く。
なにこれ、なんで私こんな心臓バクバク言わせてるの。
『別に貴方の為じゃなくてっ、…ふっ、ぁあ……、だ、め……っ』
「俺の為じゃなかったら、敵に処置なんてしないでしょ?ほら、こんな無防備に男に抱き着かせちゃダメじゃない。弱いところまでバラしちゃってさぁ…」
また目尻に涙が溜まる。
羞恥からなのか焦れったい刺激のせいなのか、はたまた悔しさからなのか。
『やだ、っ…そこ、触らないで……?』
「……そんな可愛く言われちゃ言うこと聞かないわけにはいかないねえ、ごめんね泣かせちゃって。…君はやっぱり、あのポートマフィアの体術使いが好きなのかい」
トウェインさんが私から離れて、中也さんの話題を口にした。
『可愛っ…、って、何で貴方が中也さんを?』
「だから、僕は君の事知ってるんだって。それに反応を見たところ、本当に好きなんだね……妬いちゃうなぁ」
困ったように笑うトウェインさんに、また胸がうるさくなった。
『…そ、そうよ。だから私は組合には入らない。』
「そう、でも僕も諦めは悪い方だからね。何度だって交渉しに来るよ」
__早くしないと、お友達の無事までは保証出来ないけど