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第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ


簡単な話だ。
以前殺せんせーにやった事と、全く同じことをしただけ。

『……私は人を殺すなとある人から言われているので、貴方の事は殺しません。だから、もうここには来ないでください。私の相手をするのなら、ここじゃなくてもいいはずです』

「それでも僕は…君を探して、君の為に……っ」

必死に目で訴えてくるその人を見ていると、心の底から悪い人ってわけではないのだろうと思えた。

『貴方の事は、すみませんが私には分かりません。…弾は貫通させてるので、早く処置をしに行ってください』

「……今日は、僕としては僕が個人的に君に会いに来たんだよ。勿論団長の命令もあるけど、そんな事よりっ」

『…………じゃ、話はするから、組合の件はまたにして。あと出血酷いから処置だけもう私がします。で、ここの壊れた壁の修理代は請求させていただいても?』

「君が処置を?って…鬼かい?君は…………って!?ちょっと!!?」

当然の事ですよ

言ってから、目の前の人を横抱きにする。
するとクラス中から驚きの声が上がり、誰かがシャッター音を鳴らしている。

「こ、これ何の罰ゲーム!?見かけの可愛さによらず大胆な事するねえ君!!」

『なんですか、乙女の唇奪っておいてそんな事言います?なんなら今すぐ床に叩きつけてあげても』

「いい、いいよこれで!ごめんったら!!」

身長が結構ある分運ぶのは大変だったけど、能力を使えばどうってことない。

保健室の寝台に座らせて、音を立てて戸を閉め切った。



『…取り敢えず消毒する。今回のは普通の鉛弾だけど、菌が回ると大変だから』

「なんでそんないきなりお節介に…っ、ちょっと…!」

彼の着ているシャツは既に少し着くずされていたが、消毒するのに邪魔なのでボタン外そうと手にかけた。
すると、何故か酷く焦った様子で私の手首を痛いくらいに掴んで、動かせなくする。

予想もしてなかった手首の痛みに顔を歪めていると、目を鋭くしてその人は言う。

「蝶ちゃん、君分かってる?こんなところで二人になってんのに、まださっき無理矢理キスした男を煽るつもり?」

『…は、なして……っ、私、消毒しようとしただけで……』

純粋な力の勝負となっただけでなく、やけに“男”を意識させるこの人に少し恐怖心を持った。
男の人…やっぱりそれは、私にとってはまだ少し苦手なものなのだろうか。
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