第2章 暗闇の中で
「貴方も、そう仰るのですね…」
『ふふ、それに私の仕事は、主に皆の護衛ですから。』
殺せんせーとの会話を聞いてる大人三人は、その様子を見ながらも
「あの触手、ホントにあんなゴムみたいなのできれるんだね~」などと話し込んでいる。
主に乱歩さんなのだが。
「いやはや、白石さんには敵いませんねぇ。先生、貴方が来てくれて本当に嬉しいですよ、ありがとうございます。」
『いえ、こちらこそ、太宰さんもお世話になっちゃいましたし。』
太宰さんに少し殺気を送るものの、マフィア時代の慣れからか気にもとめられていないようだ。
少し悔しかったが、とりあえずは殺せんせーを早く帰さないと。
『じゃあ先生、また明日!』
「はい、失礼しました!」
清々しい挨拶の後、一瞬で窓から出ていった殺せんせー。
「あれがマッハ20のスピードかぁ、生で見るとやっぱり凄いねぇ!」
一人、終始笑顔だった乱歩さん。
ワクワクしてる心情を隠せないのか、小さな子供のようにはしゃいでいる。
可愛いな、26歳児。
『……で、国木田さん?本日の襲撃はどちら様からだったんですか?』
国木田さんに向き直って、犯人を確認する。
「ポートマフィアの、黒蜥蜴だ。」
『!黒蜥蜴…成程。皆さんお怪我が無いようで良かったですが、』
黒蜥蜴……広津さんか。どうりで新しくなった壁や扉、備品がこんなにも多いわけだ。
ちゃんと、釘を刺して言っておかなければ。
『無駄な出費、抑えるためにも、絶対私を呼んでくださいね?』
ニコリと笑えば、わかった、分かったから!と焦る国木田さん。
レアだ、これは。
『それと後、太宰さんの事なんですが…国木田さん、よろしくお願いします。』
とアイコンタクト。
「ああ、任せろ。」
「ん?あれ、どうしたんだい国木田君!?あれれれれ!!?」
太宰さんは首根っこを掴まれて、奥の部屋へと連れ去られた。
『よし、じゃあ、そろそろ私帰りますね。お疲れ様でした、乱歩さん!』
「うん、お疲れ様!……あ、これあげるよ蝶ちゃん。」
手渡されたのは、蜂蜜の入った小瓶……え、蜂蜜?
「夜、もしも眠れない時なんかは、ホットミルクでも飲んでリラックスするといいよ。隠し味に蜂蜜でも入れて、ね?」
『!……ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えていただきますね。』
「うん、ぐっすり眠れたらいいね!」