第2章 暗闇の中で
「ええ、そうです。入浴の時間も、他の生徒達とはズラしてあるので、イリーナ先生と一緒に入ってください。」
え、何でイリーナ先生と?
いや、別に全然嫌とかいうわけではないのだけれど。
「ほら、もしもの事を考えて、能力を使わなくてはならなくなった時、いつでも使えるだろう?」
『あ、成程、要するに何時でも横浜と行き来も出来るっていう事なんですね?』
それはありがたい。
「その通り!だから、敦君の件に関して、もしも君の力が必要になった場合はちゃんと連絡する。連絡がなかったら何も無いということだから、安心して楽しんできたまえ!」
『それは安心ですね。次にまた襲撃があった時は、私がいれば修理代、気にしなくてもいいでしょうし?』
チラリと横目で国木田さんを見る。
しまった、といったような顔つきの国木田さん。
「…バレたか、いや。今日はテストだと聞いていたから、襲撃如きのために呼び出すのはどうかと思ってな?」
『お気遣いありがとうございます。でも、次からはちゃんと呼んでくださいね?私の能力で事務所内部に防御壁をコーティングさせれば、ただの銃なんかじゃ傷はつかないんですし。』
「ぜ、善処する。」
その様子を見ていた殺せんせーは、乱歩さんに触手を弄られながら話に入ってきた。
「それにしても、興味深いですねぇ白石さんの能力は。どれも素敵なものばかりです。」
『どれもというか、一応、全部を総称して空間操作能力としてますけどね?』
「空間操作…ああ、そういえば!去り際の暗殺、見事でしたよ!」
暗殺?と、国木田さんと乱歩さんは首を傾げた。
『まあ、再現してみるとこんな感じです。』
殺せんせーが何故か持っていた先生用のナイフを、先ほどと同じように先生の触手3本に埋め込むよう移動させる。
ブチッと音を立てて破壊される触手に、国木田さんも乱歩さんも関心を抱いていた。
「ニュ、…相変わらず、貴方の攻撃は避けることが出来ない。その能力を使えば、今すぐにでも先生を殺せるのでは?」
それは私も、そして烏間先生もわかっていることだ。
けれど、それは今はできない。
『無理ですよ、出来るわけがないでしょう?今殺せんせーがいなくなったら、皆の成長の妨げになっちゃいますから。あの教室には、まだ殺せんせーの力が必要だと、勝手に認識させていただきました。』
烏間先生と二人で決めたことだ。