第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
銃…というよりスナイパーライフル?
さっきこの人は私が覚えていないと言ったけれど、私の知り合いにこんなものを使う人なんていない。
『…そのリーチだと、私は貴方の弾を受ける前に避ける事も出来ますよ。近接向きじゃあない…それに、私がその銃を奪う事だって出来るんですよ?』
「まあまあ、見てなって。とっておきのを見せてあげるよ」
それからこの人は何かを小声で呟いて、私の方に向かって弾を打った…はずだった。
放たれた弾は凄まじい勢いで回転しながら、私の目の前で起動を変える。
そしてそのまま、ある方向に向かって進み続けた。
『なっ……まさか、狙いは校舎!!?』
急いで壁を作るものの、何故か上手く弾に躱される。
「ふふ、驚いたかい?」
『避けられるの!?……っ、…!!』
流石に校舎と接触した時の被害の想像がつかなかった為、単身で校舎のところにテレポートして弾丸から先回りし、威力を殺そうと少し広めの壁を展開する。
「それは予想してなかった……でも僕の弾、凄いのは殺傷能力じゃなくって、威力なんだよなぁ」
目の前で弾が壁に衝突し、何とか塞ぐことが出来た。
そう思った矢先に、爆風に見舞われる。
『……な、んでっ…!!きゃ、っ…!!』
壁ごと校舎に勢いよく身体が飛ばされて、防御の為に自身の後ろにも壁を張ったものの、身体の安全性を考慮していた結果校舎の壁を破ってしまった。
ガラガラと音を立てて壁の瓦礫が落ちる。
入ったのは、丁度先程までいた教室だった。
「え、なんで壁が……蝶ちゃん!?なんでいきなりっ」
私が地面に倒れ込むようにして突入してしまったため、一番後ろの席のカルマ君が酷く焦る。
『大、丈夫……っ、へっ、な……っ!?』
そして校舎に弾を撃った張本人が、上体を起こした私の前にしゃがみ込んで顎を手で上に傾けさせる。
視線が合うように顔を上げさせられたが、男の人にこんな近くに来られて恥ずかしくならない子がいるだろうか。
目を背けても、顔が熱くなる。
「まさかあんなに威力を削られるとは、参ったよ。でも、まだ君本気じゃないだろう?……それに、そんな可愛い反応されると、僕も我慢出来なくなっちゃうよ」
『が、まんって…何がっ……____』
その瞬間、私だけでなく、教室中に衝撃が走った。
『……っんぅ、…』
名前も知らない人に、キスをされたのだ。