第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「うん、僕は君の言う通り組合の人だ……って、だから危ないって!銃下ろして、銃!!」
『……だって貴方、背中に隠し持ってるでしょう?』
銃の匂いなら、分かる。
こんなに近くにいればというのもあるけれど、何より結構な大きさのものだろう。
存在感を隠しきれていない。
「ああー、バレちゃったか。流石チョウちゃんってところだね」
『気安く人の名前呼ぶのやめてもらえないですか。それに私、チョウじゃなくてチヨなんで』
「うん、御丁寧にどうも蝶ちゃん」
結局自分の性格のせいで名前を呼ばれる事となり、頭を少し抱えて溜息をついた。
『で、その組合の人がなんで椚ヶ丘に?まさか、見るまで私だとは思わなかったけど情報だけは入手していたから来てみたとか?』
「いいや?うちの情報網を甘く見てもらっちゃ困るよ、その様子だと団長に迎えにいくとでも言われた?」
こんな人に弱みなんて見せられない。
グッと色々なものをこらえて、銃を構えたままきっ、と睨みつける。
「言われたんだ?じゃあ訂正しておこう。まず君を組合に勧誘したい理由だけど……これは他の誰でもない僕のわがままさ」
『え、どこかからの依頼なんじゃないの…?』
「うん、だって僕は君に組合に来てもらうためにここまで来たんだから」
目の前の人物のいう言葉に、空いた口が塞がらない。
あそこに連れ戻すわけじゃなくて組合に入ってほしい…?
『どういう事…』
「簡単な話さ、君は知らないかもしれないけど、僕は以前君に惚れてしまってね。プロポーズをしに来たんだ!」
高らかな笑顔で言われたため、頭が一瞬追いつかなかった。
『…………えっ、ちょ…今なんて』
「だから、プロポーズだよ。結婚を前提に僕とお付き合いして下さい、白石蝶さん!」
私の目の前で傅いて頭を下げるその人の言葉に嘘はなさそうで、更に私の頭を困惑させる。
『い、いやその、いきなり知らない人にそんな事言われても…っ、そ、それにもう私好きな人いるんです!ごめんなさいっ!』
頭を下げてお断りすれば、その人は頭を上げて話を続けた。
「そっかあ、残念…その様子じゃ僕の事も覚えてなさそうだしね。まあそれはそれとして、僕団長の命令で動かなきゃだから、どの道君の事は連れて行かなきゃならないんだよ。なにやら団長が、君をいたく気に入っているらしくてね?」
その人が銃を構えた。