第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「先生も一緒にいた方がいいんじゃないのそれ。仲間の誰かが殺されるかもって、そんな状況じゃ『とりあえず殺せんせーには、最初に逃げてもらわなくちゃならない』…なんで?」
カルマ君の言葉を遮って、はっきりと皆に聞こえるように伝える。
『これだけ多くの人がいれば、誰に危害が及ぶか分からないから。私は自分の身を守る事なら出来るけど、こんなに多くの人を今回の相手から守りきる自信は、ない』
言えば、カルマ君の表情も引きつった。
『だから闘うにしてもなんにしても、皆をこっちの事情で巻き込むわけにはいかないの。私がここにいる以上敵はここに来るかもしれないから、なんとしてでもそれだけは避けたい…分かって?』
困ったように笑ってみせれば、殺せんせーは生徒の避難を最優先にすると答えてくれた。
「ただし、貴女が危なくなったら先生、すぐに貴女も助けに行きますからね」
『……相手がこちら側の人間だとしても?』
「はい、勿論です。先生ですから」
迷いのない返答に、少しだけだが安心した。
『ありがとうございます。じゃあ私、とりあえずテストの当日は、何もなければ旧校舎の方に登校しますので』
「分かりました。先生と一緒に授業をしましょう……では皆さん、白石さんをあてにすることなく、自分の力で殺りますよ!」
『あと殺せんせー……もし私が学校にいる間に死ぬような事があったら、すぐに中也さんを呼んでください。ちょっと色々とややこしい事になるので、一番詳しい人がいた方がいいですから』
普通の中学生の目の前で仲間が殺されるだとか自分が死んだらだなんて、言わない方がいいのは分かってる。
皆の驚きようがそれを物語っているから。
でも、ちゃんと言っておかなくちゃ…何かあってからじゃ遅いんだから。
「…………白石さんのことは先生が死んでも守ります」
『ふふ、死んだら守れませんよ、殺せんせー。…じゃあ私、しばらく外に出ますね。ちょっとまだ頭がぐちゃぐちゃしてるんで、整理してきます』
力のない声でそう言って、教室から出て行った。
私、もうどこにも行きたくないな…
『……どうすればいいんだろ…!っ、誰!!』
外に出てぽつりと呟けば、背後に気配を感じた。
見れば、フランクそうな顔つきで両手を上に上げる男の人。
「そんな怖い顔しないでよ、怖い怖い…」
『……貴方、何?組合の人?』