第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「し、しかしそれでは白石さんが…」
『…………大丈夫ですよ、私こう見えて、ポートマフィアじゃ幹部なんてものやってましたから。皆に怪我なんてさせません』
「俺は君自身の事が心配なんだが……まあ、分かった」
烏間先生は、なんとか皆の安全を確保することに頷いてくれた。
『ありがとうございます。出来るだけ迷惑をかけないようにはしたいと思いますが、もしもの時はお願いしますね。』
あとは前に言ったことがあるように、私が突然来れなくなったりすることがあるかもしれないということを改めて伝え、その他にもいくつかのお願いをして了承を得た。
教室に行くと殺せんせーが挨拶をしてくれ、皆が私の方を向く。
『すみません、遅くなって。…ああ、もうちょっとで期末テストですか』
殺せんせーの分身による個別指導が始まっていたため、それを悟った。
何やら今回のテストでは、各教科で一位を取った生徒が殺せんせーの触手を一本破壊する事が出来るという権限を与えられるとか。
「つーか白石いたら、殺せんせー触手無くなっちゃうんじゃねえの?」
吉田君がふと漏らし、殺せんせーは汗をダラダラ流して怯えた様子になる。
「にゅやっ!?た、確かに白石さんなら……せ、先生大丈夫でしょうか」
『……大丈夫です殺せんせー。私今回、テスト受けませんから』
これは先程烏間先生と話した事。
私の一言で殺せんせーは分身を作るのをやめて私の前に立ち、皆目を見開いて私を見る。
「て、テストを受けなとは、またいったいどういうわけで…」
『さっき、烏間先生と話して許可は取りました。テストは明後日からでしたっけ…少し私の方で厄介事が起こってしまったので、皆が安心してテストに臨む為にも、私はあまりここにいない方がいいかもしれないという判断です』
教室の中がざわつき始める。
「厄介事って、それは貴女がそうまでしなければならないような事態なのですか?」
『…………回りくどい言い方をせずに単刀直入に言いますね、殺せんせー。この件について、私が自分の会社の方から集中を切らせば、仲間の誰かが最悪殺されるかもしれません』
それくらいは覚悟をしておいた方がいい。
『それと、その厄介な相手というのが私を追ってここに来る可能性も高い。殺せんせーにはもしそうなった時、真っ先に皆を連れて逃げて欲しいんです』