第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
「なっ…それは本当かい蝶ちゃん。国木田君、この件を社長に」
国木田さんは社長に伝えに行く。
中島さんと鏡花ちゃんはあまり状況が理解できていない様子。
『ねえっ、私また連れてかれちゃうの?また私、中也さんと離れ離れになるの?』
中也さんという単語に少しだけ鏡花ちゃんは反応を見せる。
しかし中島さんは分からないまま。
「大丈夫、君をあいつから離したりなんて絶対にさせない!取り敢えず、蝶ちゃんは一度あいつにこの事を伝えた方が……私が伝えた方がいいかい?」
『ん…私、中也さんと会う余裕、ない………学校行って頭冷やしてきます、ごめんなさい』
「蝶ちゃん待って、あまり一人で行動しない方がいい!」
太宰さんに止められたが、今はとにかく落ち着ける場所に行きたかった。
皆に会えば…学校にいれば、何も考えなくて済むだろうから。
『…でも、仕事ありますから。大丈夫ですよ、私が能力使えば負けない事、太宰さんが一番よく知っているでしょう?』
無理矢理へらりと笑ってみせるも、こんな強がり太宰さんならすぐに気付く。
『それにほら、横浜にいるよりあっちにいた方が安全かもしれないじゃないですか。…もう行きますから』
「無理をしてでも、捕まっちゃだめだからね…血が足りないくらいならあいつを呼べば何とかなるけれど、君がいなくなっちゃあ元も子もないのだから」
『…………分かってます』
扉を越えて、椚ヶ丘の旧校舎の屋根の上に着地する。
『分かってる、そんなの……一番私が分かってる』
『失礼します』
「白石さんか。探偵社で用事があったのに、わざわざすまないな」
『いえ、仕事ですから…』
職員室にお邪魔して、烏間先生に仕事だからと言ったのは良かった。
そうだ、この任務は仕事…もしもあいつが、私を追って椚ヶ丘に来たらどうする?
皆が巻き込まれたら、守りきれる?
『烏間先生。少し探偵社の方の事情で、海外の異能力集団とのいざこざが起こりそうなんです。……もしかしたらここにもそいつらが来ることになるかもしれません』
「…白石さんでも一人でそうなっては厳しいだろう。俺や標的も君に協力して……」
『いえ。異能力者が相手となれば、烏間先生は勿論あの殺せんせーだってどうなるかわからない。お二人には、皆の安全を確保して、避難させていただきたいんです』
私一人じゃ出来ないから