第5章 新しい仲間と新しい敵と...ⅲ
『…あの、太宰さん。今日私が呼ばれたのは何の用でなんです?その調子でダラダラされてるだけなら、私学校行きますけど』
皆と甘いものを食べてまたちょっと距離が縮まったような気がした…その翌日。
太宰さんから呼び出しを受けて探偵社に来たは良いものの、国木田さんや中島さんが机に向かっているのに対して太宰さんはずっとダラダラしている。
「いやあ、蝶ちゃんへの用は一つだよ~…昨日のあの白装束の男には気をつけた方がいいかもしれないということだ」
『!……次から警戒するようにします』
「うん、十分警戒しておいてね。能力を使ったとしても何を仕掛けてくるか想像がつかないし、もしかしたら本当に蝶ちゃんを狙っているのかもしれないし…ふふ、ふ」
なんて忠告してくれているのはいいものの、ずっと椅子の上でダレている。
そんな太宰さんに、遂に国木田さんが話しかけた。
「白石を引き止めてダレている暇があったら、ポートマフィアに囚われていた件の報告書を出せ」
え、まだ出してなかったのこの人。
相変わらず書類仕事しないなあ。
「ふふ……敦君」
かと思えばいい声で中島さんに話しかけた。
「は、はい!」
うわあ真面目に返事しちゃってるよ中島さん、猛烈に嫌な予感がする。
「私の代わりに報告書を書きたまえ」
「ええぇ…」
これには流石に中島さんも苦い顔をするか。
良かった、流されなくて。
なんて思ったのも束の間、
「君に懸賞金をかけた黒幕に関することでもかい?」
「「なっ!?」」
太宰さんはまだ言っていなかったのか、中島さんと国木田さんが手を止めてそちらに反応する。
鏡花ちゃんも知らなかったらしい。
ポートマフィアから盗んできた情報によれば、出資者は組合と呼ばれる北米の異能力集団の長らしい。
…ロヴロさんの聞いた噂はどうやら本物だったようだ。
「組合は都市伝説の一種だぞ?そんな連中が何故敦を…」
と国木田さんが言った直後、外からヘリの音が聞こえる。
それも結構近い所だ。
谷崎さんが音を立てて探偵社の扉を開く。
「た、大変です!!」
谷崎さんについて外に出れば、真っ黒なヘリが道路に着陸し、交通網を途絶えさせていた。
車のクラクションが鳴り響く中、中にいた人物が出てくる。
「先手を取られたか……っ、蝶ちゃん?」
その顔を見た瞬間に、私は太宰さんの背中に隠れた。