第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
『ね、中也さんっ…烏間先生、まだ用があるみたいだけど』
「!…やべえ、考え事してたら聞こえてなかった」
それでこんなに歩くのが速かったのか、と一人納得した。
敬意や礼儀を私に態度で教えてくれたこの人が、烏間先生の声を無視していくだなんておかしいと思った。
『考え事?』
中也さんに聞こうと声に出せば、私達に追いついた烏間先生と、そこにかけつけたクラスの皆が私達を呼んだ。
「あ、ああ悪い烏間さん…ちょっと考え込んでて聞こえてなかったらしい」
「そうか、止まってくれて良かった。…その、鷹岡の時の件では生徒達……そして白石さんと中原さんのおかげで解決したから、この間放課後に甘いものを食べようと皆で言っていたんだ。」
そんな話があったのか。
聞けば、烏間先生の奢りで皆で行こうと話していたらしい。
「で、俺も皆も、二人と一緒に行けた方がいいという意見で一致してな。これからもし時間があるなら、行けないかと思ったんだ」
中也さんは甘いものは好きだけど、昨日ケーキを死ぬ程一緒に食べたからか顔を少し引き攣らせていた。
しかしすぐに私の方に目線をやって盛大な溜息を吐く。
「お前、なんで昨日あんだけ食ったのにまたそんな顔出来んだよ…」
『だ、だって…まあでも烏間先生、やっぱり皆で行ってきてください。私「おい」……』
中也さんも誘われているけれど、今日のデザートだって多めに作っていたしなと思って、行きたくないのかと思ったため帰ろうとした。
でも、それもまた中也さんに制される。
「誰が行かねえなんて言ったよ。あんな食いたそうな顔しといて俺に遠慮してんじゃねえぞ」
『!うん、っ……今日も中也さんとデート♪』
「お、っ前は…!!」
一瞬ぽかんとした烏間先生だったけど、良かったと言って微笑んだ。
中也さんは顔を赤くしてわなわなと震えている。
「へえー、今日もってことは、昨日もデートしたんだ?」
「中原さん、話はケーキ屋でゆっくり聞きますね?」
なんて男の子も女の子も、そんな中也さんを冷やかし始める。
「手前ら、先に言っとくがあれは甘いもんをたらふく食いに行っただけで…」
『ちょっと皆、ケーキ屋でゆっくりとか聞かせないよ!?』
私が慌てて反論すれば、皆驚いていたけれど中也さんの目が少し輝いた。
『中也さんは私の所にいるんだから』
「そっちかよおぉ……!」