第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
『中也さん、もう私あれを使わなくてもいいようにするから、そんなっ…』
「阿呆か、自分の身を守る為の最終手段だろうが。必要があればちゃんと使え、その後しんどくなったら俺が助けてやるから。」
でも、と反論しようとすれば烏間先生が口を開く。
「成程、理解した。白石さんの容態が悪そうな時も、中原さんに相談する事にしよう」
『なっ、待ってください烏間先生…なんで先生まで』
蝶、と一言中也さんが言って、ビクリと身体が固まって言うのをやめた。
「前にこの話はしただろうが。お前だって俺がやばかったら、“ああする”だろ」
『でも、また中也さんがしんどくなる。それはやだ』
外套を強く握って、なんとか口にした。
この件について駄々こねたら、怒られちゃうかな。
でも私、中也さんがしんどくなるの、嫌なの。
「あーもう…分かんなかったか?そん時はそん時だ、それにまたお前がなんとかしてくれんだろ。まあ俺もあんまりお前に痛い思いはしてほしくはねえんだが」
頭をくしゃりと撫でて、想像もしていなかった言葉がかけられた。
怒ってなんていない、寧ろちょっと照れくさそうな声。
『……その時は、その時。仕方ないから、飲んでくれるんなら頑張る』
「おう、それでいい。お相子なら文句ねえだろ?蝶になら安心してそうできるよ」
私の事を信頼しての言葉だったんだ。
ちゃんと私にも頼ることをかんがえて、そう言ってくれたんだ。
やっぱり大人だなあ、中也さん…
「では、連絡先だけでも…って、いいのか?中原さんはポートマフィアの幹部なんだろう」
「ああ、構わねえよ。烏間さんは悪用なんてしねえだろうし……したらしたで、その時だ」
今回中也さんが口にした“その時”というのは、身の安全は保証できないと暗に伝えるものだった。
「分かっている。…俺の方でも、出来るだけ白石さんに無理はさせないように動くが、もしもの時は連絡しよう」
「相変わらずあんたの目は信用出来るな、蝶が信頼するのも理解出来るわこれは…じゃあ要件はとりあえずそれだけだ、失礼する。蝶、帰んぞ」
『えっ、あ…!烏間先生、また明日!』
突如立ち上がった中也さんに急いでついて職員室から退室した。
「あっ、二人共!!」
烏間先生の呼び止める声が聞こえたが、中也さんは何故か歩いて行ってしまうのでそれについて行った。