第2章 暗闇の中で
今日は事務所にも顔を出していこう。昨日顔出さずに帰っちゃったし。
__武装探偵社 事務所__
『こんばんは~』
事務所にいたのは、国木田さんと乱歩さん。
「おっかえり~!」
「おお、お疲れ。白石、少し質問があるんだが…太宰を知らないか?」
国木田さんが太宰さんの名前を口に出したことで、ようやく思い出せた。
『あ゛…今日、太宰さんが椚ヶ丘に来られたんですが、何かの仕事だったんですか?私個人としてはサボリと見てるんですが。』
そうだ、太宰さんだ。
あの人拗ねてたら多分まだあの場にいるだろうし…放置してきちゃったよ。
「どこに行ったかと思えばそんなとこまで行っておったのかあの唐変木!迷惑かけたな、すまない…あいつめ、!」
ああ、国木田さん、心中お察しします。
この人ホントにいい人だ、太宰さんにも見習ってほしい。
『放置したまま忘れて帰ってきちゃったんで、まだ東京にいる可能性あるんですけど…迎えに行ってきましょうか?』
「あ、蝶ちゃん。その必要はなさそうだよ?」
乱歩さんによってその案は却下された。
必要ない?
『?それ、どういう……』
言いかけたところで、事務所にの扉がノックされ、聞き覚えのある声がした。
「失礼します。」
そう言って入ってきたのは、背中に太宰さんを乗せた殺せんせーだった。
『え、殺せんせー!?…あ、すみません、太宰さん連れてきてもらっちゃって!』
「貴方が噂の殺せんせーか。白石……もだが、クソ太宰が世話になった。すまない。」
「おおお、凄いね。本当に触手なんだ!」
乱歩さんだけ完全に関係の無いリアクションだが、まあ乱歩さんだし、気にしないでおこう。
「いえいえ、太宰さんとは話したい事もありましたし、丁度良かったのですよ。なかなかに話が合う!」
「本当に!殺せんせーとは仲良くなれそうですよ!」
「『お前(太宰さん)はもう少し自重しろ(して下さい)!!!』」
開き直っている彼に、国木田さんと二人で怒りをぶつけた。
しかし、当の本人はケロッとしたような表情でヘラヘラ笑っている。
「あ、さっき殺せんせーと、社長と話して決めたのだけれど…」
挙句、話題を変え始める始末。
「修学旅行の間、蝶ちゃんはイリーナ先生と同じ部屋で過ごしてもらう事になったから!」
『あ、はい…?イリーナ先生と?』