第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
『いいですよ、何でも言ってください』
「お前それで本当にやるから言えねえんだよ!!」
中也さんが大きい声を出したせいか、いくつかの足音がこちらに近付いてきた。
「あ、蝶ちゃんそこに…って、早速中原さん捕まえてる」
「え、あれ捕まえてんの?どっちかっていうと捕まってない?」
「なっ……!?俺が捕まえてるってどういう…蝶、離れるか?」
自分がまだ私を抱えている事を認識してか、照れた調子で聞いてきた。
そんな質問、私にするだなんてまだ分かってないんだね中也さん。
『い、や』
「ですよねえ…!!」
『ふふ、私が中也さんを離すわけがないでしょう。折角戻ってきたんだから』
主にカルマ君と中村ちゃんから冷やかされている気がするが、私はそれに恥ずかしがる以上に中也さんからこの手を離したくはなかったのだ。
「……んじゃお前、言った通り離れんなよな?」
『え、中也さんいきなりどうしっ…へっ、!?や、やだなんでっ』
私を横向きに抱えたまま、皆の前だっていうのに下ろすことなくそのまま歩いて校舎の方に行ってしまう。
中也さんからこんな風にされると、恥ずかしいのなんて隠せっこないじゃない。
身体が普段より高い位置に抱えられている事でちょっとだけ怖いのも相まって、私の張りぼての余裕は崩れ去った。
「あ?誰だよ俺とくっついときたいっつったのは。もうあいつらの前だからってお前の事を離したりしねえって約束したしな、俺は全力でそうさせてもらうぜ」
かっこいい事を言ってる風にキメている…いや実際に中也さんはかっこいいんだけど、顔がイキイキしてる。
私の反応見て楽しんでるこの人。
『鬼ぃっ…!!』
皆の方なんて見れないから中也さんの胸に顔を埋めて、首元に縋り付いた。
「…んな事言っても結局離れたくねえんじゃねえか。それに俺に対する悪口のレパートリー少なすぎな、お前」
『だ、だって中也さんがこんな風にするなんて思ってなくって……!!何でもないです!!』
中也さんのように無駄に足掻いて誤魔化そうとすれば、周りから中也さんそっくりだという声が聞こえた。
「おーおーそうか、俺もえらくなめられたもんだな。蝶、お前覚悟しとけよ」
『か、覚悟!?…〜〜〜なめてないです、寧ろ崇めてます!!』
「「「崇めてんの!?」」」
『____…好きだもん』
「……おう、甘えとけお前は」