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第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ


夏の爽やかな暑さのせいで思ったよりも早く制服が乾き、上着を谷崎さんに返して、皆が着替えに行ってる間に探偵社へと送った。

何かあったらいつでも相談するんだよ、と本当のお兄ちゃんのように頭を撫でられて、谷崎さんと別れた。
ナオミさんがいるし、年下の女の子の扱いは慣れてるのかな。

『……っ、…』

沢にしゃがみ込んで、指を水につけてみる。
溺れようがないような浅いところなのに、自分よりも大きな水に、思わず目を瞑って反射的に指を離す。

『………帰ろ』

殺せんせーの触手の能力を弱める成分の入っていたプールに全身使っていたからか、少し体の調子がおかしい。
木を渡って行くのは危険だと考えたので、情けなくもひょこひょこと歩いて裏山から出ることにする。

それにしても、対殺せんせー用の物が私に有害という事が、また新たに実証された。
それも、恐らくあの先生より私は少し特殊な効き方をするらしく、的を得るようにして私の嫌な記憶を引きずり出してくるものだから恐ろしい。

今回のだって、身体が怠くなるくらいで終わればいいんだけれど…

『…それにしても長いな、こんなに道のりあったっけ?』

普段飛び回って移動する上に今は走る事が出来ないので、全然麓にたどり着ける気がしなかった。
あーあ、最悪野宿かなあなんて考えて、それだけはやめようと打開策を考える。

『あ、ここ裏山じゃん』

皆がいるのは違う山。
旧校舎に行って、もう帰っている子がいたっておかしくはない。
それなら、能力を使って移動すれば、走るよりも速い。

『あー…なんでもっと早く気付かなかったんだろ』

自分の視界に映る一番遠いところへと移動を繰り返し、すぐに麓までたどり着いた。
さて問題はここからだ。
一応谷崎さんを送っていくという名目で送れてきたため、もう一度旧校舎までの道を行かなければならない。

『……ま、いっかな』

麓にはタイミング良く誰もいないし、気配も感じない。
近くに誰かが降りてきている様子もない為、扉を作る。

バレないように、校舎の裏側の木の上にだ。
そこから枝に着地さえすれば、最悪誰かに見られたとしても頑張ればなんとか誤魔化せる。

そして扉に勢い良く飛び込んだ…までは良かった。
木に足を着地させた瞬間、足元がぐらりと傾いて力が入らなくなる。

『やば、っ…』

体制を立て直すことが出来ずに頭から落ちる
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