第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
「白石さん…いいんですか?」
『はい、この前みたいに負傷したりなんかすると、流石に皆を庇いきる自信がないんで。それに、もうあんまり心配かけたくないですからね…そんな日が来なければいいんですけど』
私が能力を使う事なく、平穏に暮らせるのが一番いいに決まってる。
それに皆をちゃんと安全に守りたいし…中也さんを泣かせちゃダメだから。
「分かりました、伝えておきます。白石さんが闘いやすくなるのがやはりいいでしょうしね」
「蝶ちゃん、無理はしちゃダメだからね?食事でも鉄分多めにとって、ちゃんといつでも大丈夫なようにするんだよ!?」
谷崎さんはまたいつもの調子で心配性になる。
中也さんとかと面識無いよねこの人?なんでこんな根本的な部分似てるんだろ。
『お願いします殺せんせー。…はは、大丈夫ですよ谷崎さん、ちゃんと取ってますから』
必死な顔して顔を青くしている谷崎さんに、少しの間静かだった皆がまた騒ぎ始めた。
「って、やっぱ白石強いんだよ!どうりであんな事出来るわけだわ!」
「うん、寧ろ分かって安心したよね、蝶ちゃんの会社の人が皆あんななのかと…」
ポートマフィアでも何人かくらいだろうしなあ、私と渡り合ったり勝てたりする人。
それこそ、もう中也さんと…誰だろう。
あの人、異能使ったら私の壁だってなんなく破壊できるしなあ。
『あんなって…でも私、一人じゃ全然強くなんてないよ。今回みたく、何が起こるかこれから分からないから……絶対、誰にも怪我させない』
意思を固めて声にした。
皆からすればどうしたんだろうと思われる事かもしれないが、私としてはこれで覚悟を決めたようなものだ。
殺すのは探偵社員として…なによりも中也さんにも言われているからしない。
だから、それ以外の方法で、能力をどう使ってでも守ってみせる。
「もー、これだから蝶ちゃんイケメンなんだよなあ…あ、男の子皆に一応言っておくけど、うちの蝶ちゃんと交際したいって子がいれば蝶ちゃんに会社に連れてきてもらってね?」
ちょっとした面接と試験があるからなんて笑顔で言い放つ谷崎さん。
あれ、なんだか笑顔が黒い。
前に話をされた三人は苦笑いだし、他の子達は首をすごい速さで縦に振っている。
『谷崎さん、やっぱそれ本当なんですか、試験とか面接とか…』
え、当たり前じゃない?と当然のように言い返された。
