第2章 暗闇の中で
『言うつもりなかったのにっ、ああもう、あんなに名前連呼しちゃったよ!恥ずかし、……!!』
「うん、まあ、アンタが乙女だって事は皆に伝わったわ。あと、体術がやっぱり凄いわね。流石ボディガード…にしても、強すぎない?」
上手く繋げてくれたのはイリーナ先生。
カルマ君はといえば、そっぽ向いて涼しそうな顔してる。
『仕返し二倍に決定だわ…って、皆どうしたの?黙っちゃって。』
顔を見合わせて謎のアイコンタクトをとってから、代表して中村さんが私の肩に手を置いた。
「まあまあ、純情な乙女、可愛いじゃん……で、実際のところどうなってんの?中也さんと♪」
『も、だから、内緒なんだってばぁああ~!!』
私の虚しい訴えは、皆の笑い声と、学校の終わりを知らせるチャイムによってかき消された。
「じゃ、また明日ね、蝶ちゃん!」
今日、あれだけ素を出してしまったからだろうか、皆が名前で呼んでくれるようになった。
『うん!…あ、明日ってほとんど修学旅行の打ち合わせなんだよね?』
「そうだよ!楽しみ~!」
『そっか、うん、楽しみ!またね、カエデちゃん!』
恥ずかしさと引き換えに、皆との距離は前よりもグッと近づいてきてる。
これなら、本当に修学旅行も楽しみだ。
教室に一人残って、早くもお土産のことを考える。
『皆いつもお世話になってるもんなぁ…乱歩さんは、やっぱお菓子?あ、賢治くんにもそれでいいかも。与謝野先生は髪飾りとか似合いそうだな。』
他にも、谷崎さんにナオミさん、国木田さん、中島さん、社長、事務の方々と、個人のお土産を決めていく。
そしてそれが決まりきったころ、そろそろ帰ろうかと思い職員室へ向かった。
『先生方、そろそろ私も帰りますね。さようなら!』
「ああ、…色々とお疲れ様」
流石烏間先生、できる大人は心遣いまで人と違う。
「修学旅行まで、体調崩さずにいなさいよ?お疲れ。」
イリーナ先生も、なんやかんやで本当に優しい。
「お疲れ様です。…青春、ニュヤァァアアアア!!?」
殺せんせーはね、うん。
先生用のナイフを烏間先生が持ってたから、それを空間移動で先生の触手3本に埋め込んだ。
『お疲れ様です、殺せんせー?』
「き、気をつけて…」
扉を創って通ろうとして、ふと思った。
『あれ、何か忘れてる?』
「蝶ちゃん…私を…グフ、」