第2章 暗闇の中で
「えー?何って、近々帰ってくるであろうあいつの為…というか、交換条件としておまけに御褒美としてあげるために撮っとこうと思って。」
『太宰さん、今、近々帰ってくるって言いました?何に使おうとしたのかの詳細までだいたい察しはついたので、それ消して頂けます?そしてお言葉ですが、中也さんに最初に会うのは貴方ではありません、私です。』
ボイスレコーダーを貸してと無言で手を出して伝える。
あんなの、告白しにいってるようなものじゃない。絶対阻止しなきゃ。
「す、すごい勢いだね蝶ちゃん。でも、これ聞かせたら絶対喜ぶと思うよ~?」
と、軽々ボイスレコーダーを上に上げる太宰さん。
この人、ただでさえ私よりも身長高いのにそこまでするか…いい度胸じゃないですか。
『太宰さん、忘れてません?そもそも最初に中也さんに会うのは私です。そして___』
太宰さんの背後に瞬時に回り込み、天井にぶつからない程度に跳躍し、後から彼に軽めの蹴りを入れる。
「おおう!?」
『素手でも十分、貴方に勝てます。』
肘を後ろ手に回して捻り、ボイスレコーダーを取り上げた。
そして片手でボイスレコーダーを破壊する。
「あああああ!!蝶ちゃん~…それはやりすぎだよぉ、」
何を言ってるんだ大の大人が。
てか、貴方なんで東京にいるんですか、さては仕事サボってきましたね?
蔑んだ目で太宰さんを見下ろした後、ゆっくりと立ち上がった。
勿論、逃がさないよう腕は掴んだまま。
『……皆さん、お騒がせしました。うちの社の人間ですので、責任もって処分しておきます。』
「え、処分?処分って……え、あああああ!!!?」
何をしたかというと……単純に、投げ捨てた。
窓から。
『今日、私一人で帰るんで、早く帰った方がいいと思いますよ?横浜まで、遠いでしょう?』
それだけ言って、皆の方に向き直る。
「えっと、大丈夫なの?あの人ボロボロみたいだけど…」
潮田君、君はなんて優しい心の持ち主なんだ。
『いいの。どうせあんなのじゃ痛くも痒くもないだろうし、それに____』
____乙女の敵ですから____
「「ひっ!!?」」
『ああ、ごめんなさい、熱くなってしまいました。…って、カルマ君?結局名前出しちゃったじゃん、どうするのよこれ!!』
完全に私のミスもあるけど、そもそもこうなった元凶はカルマ君。