第2章 暗闇の中で
本当は、修学旅行に行ってみたいとも思うけど、探偵社の仕事だってあるかもしれないし。
何せ今は70億の懸賞金にかけられている中島さんがいるし、学校の授業がない時くらいは私もちゃんと仕事しなきゃね。
「修学旅行に行けない!?何で!?」
茅野ちゃんのリアクションはかなり大きくて、少し面白かった。
『仕事があるかもしれないから、かな?最近学校に来させてもらってる分、私もちゃんと手伝わないといけないと思うし。』
太宰さんはともかく、国木田さん達に申し訳ないもんなぁ…
「そ、そんな…!白石さん、私白石さんの会社の人にお願いするよ、!!」
唐突に言い出す茅野ちゃん。
……ん?お願いする、?
『ええ!?いやいや、いいよそんな!お願いするんなら私一人でだって出来るんだし!』
「なら、お願いしよう!?白石さんと一緒に京都行きたい!」
『……うん、帰ってから頼んでみるね。』
ここまでまっすぐ言ってもらえると、本当に嬉しいし、心地いい。
茅野ちゃん、いい子だな。
ただ、やはり一人だけ旅行に行くだなんてこと、気が引けるなぁ…誰かに相談出来ればいいんだけど……
その時だった。
「白石さん、そちらの社長さんから電話が来ている。職員室に来てくれ。」
『え、社長!?わ、分かりました!!』
教室に入ってきて、突然私を呼び出した烏間先生。
社長から連絡って何!?何かやらかしたかな私!?
受話器を烏間先生から受け取り、話しかける。
『電話、変わりました。社長。』
「ああ。先程、そちらの殺せんせーから連絡があったのだが……」
殺せんせー!?
何で社長に電話してるの、私本当に何かやらかしちゃった!!?
しかし、次の一言で私の思考は覆される事になる。
「修学旅行、京都だそうだな……行ってきなさい。」
『はい!……え、修学旅行にですか?でも、そしたら、私そっちの手伝い全然出来ないんですよ?』
「構わん。元より、仕事はE組生徒達の緊急時の護衛なのだ。何を気に病む必要がある?」
電話越しの社長の声は、酷く優しい声だ。
『で、でも、中島さんの件だって…』
「……では、蝶にもう一つ、仕事を与える。」
『は、はい。何でしょう?』
「何も気にせずに、普通の学生として学校生活を送りなさい。」
何も気にせずにって…
普通に?学校に行ってもいいの?
血で汚れたこの私が、?