第2章 暗闇の中で
E組は全員、旧校舎へと戻る。
山を登るのは面倒だけど、ここで能力を使うとカルマ君以外の子にもバレてしまうため、仕方なく徒歩で登ることに。
皆、文句を言いながらも旧校舎へと帰っている。
しかし、その声の中からは、思ってもみなかった言葉が聞こえた。
「なあ、今回のテストさ……範囲違ってなかったか?」
『!?それ、どういう事?えっと…前原君。』
前原君は、今確かに範囲が違うと言った。
「え、分かんなかったの?今回、俺らが知らされてた範囲よりもっと先の問題がいっぱい出てたんだよ。…殺せんせー、出ていっちまうのかな。」
『範囲が違ったって……!』
テスト前にカルマ君と話していたことを思い出す。
嫌がらせ?これは、嫌がらせという言葉で終わらせていいようなものなの?
ほかの子の顔を見ても、カルマ君以外は皆暗い顔になっていた。
『……成程、これがE組なんだ?』
「うん。でもまあ、この後俺に考えがあるんだけど…蝶ちゃんも手伝ってくれる?」
ニコッと笑うカルマ君に疑問を抱きつつ、協力する事にした。
__旧校舎__
「先生が甘く見てました。この学校の方針を……これでは君達に顔向け出来ません。」
黒板の方を向いている殺せんせー。
結果は、皆50位以内に入る事は出来なかったようだ。
殺せんせーを何とかこの教室に留めておかなければならないのだが、このような事態に烏間先生でさえも対処できそうにない。
そうか、これでカルマ君はさっきあんな事を……
殺せんせーの背後に、一本のナイフが飛ぶ。
「にゅや!!?」
これが合図だ。
「いいの?殺せんせー……顔向けできなかったら、俺らに殺されちゃうよ?」
答案を持って、カルマ君と一緒に先生の元へと歩いて行く。
「カルマ君!白石さん!?先生は今落ち込んでっ…」
「俺達、範囲とか変わっても別にカンケーないし。」
二人同時に、教卓の上に全ての答案を提示する。
クラスの皆が、周りを取り囲み出した。
あんまり見られると恥ずかしいんだけどなぁ…
「カルマ数学100点とか…バケモンかよ、」
誰かの呟きに、カルマ君が反応した。
「え、何言ってんの?蝶ちゃんの答案見てみなよ。」
『え?…ちょ、カルマ君!?』
カルマ君の答案に隠れていた私の答案。
「ええ!!?“全部100点”!!?」
驚きの声が響き渡った。