第28章 少女のいる世界
『どうして今日制服なの?もう生徒じゃないのに』
「だからってカッターシャツを俺のにするって聞かなかった不良娘が文句言わねぇの」
『だって学校指定のものでもないんだしいいじゃない。蝶は中也にいつでもどこでも包まれていたいだけよ』
「お前たまにサラッと言うようになるよな…」
E組制度は廃止されたため、本校舎へと中也にくっついて向かっていく。
旧校舎だった山の上の校舎は、浅野さんの意向によって殺せんせーへと差し出されたそう。
そしてそんな殺せんせーから、今日は制服で来てくれないかとの連絡が入ったそうだ。
『正装なら仕事服でいいと思うの。中也と違う格好になっちゃう』
「俺はお前の制服姿好きだけど?」
『どのへんが??』
「スカートとネクタイが可愛らしいじゃねえか。あと、地味に俺の真似してベスト着た上に黒の上着挟んで、ブレザーを外套風にしてるのとか」
バレてたの?と問うと、くす、と笑って、気付かないわけないだろ?なんて当然のように返される。
「俺にバレてないって思ってたあたりがお前らしいよ」
『…中也ってたまに意地悪するわよね』
「意地悪なんてしてねえよ、可愛がってんの。これは」
『じゃあ可愛がるの許してあげるから外套交換して』
「お前なぁ…、何か言われても知らねぇぞ?」
なんて言いつつも着せてくれるのが中也である。
せがんだら結構聞いてくれるんだよなぁ、流石は親バカ。
なんてやり取りをしているうちに、到着する本校舎の生徒用玄関。
中に入ると、普通に下駄箱が並んでいて、普通に受付があって造花のピンを渡されて…?
「“白石”蝶さんですね?これをつけて、そのまま体育館へ…って、ブレザーの上に外套を着ちゃったんですか?相変わらず仲のよろしいようで」
『え…、浅野さん…?』
「はい、浅野です。案内しますよ、白石さん」
何故か浅野さんに言われるままに、ブレザーに造花をつけて、そのまま体育館へ連れていかれる。
それに、なんで私のこと白石って…?
疑問を多く持ちつつも、案内されて中へ入っていけば…なぜだか、多くの拍手が鳴り響いていた。
“卒業生、入場____”
アナウンスが聞こえて、装飾された体育館に入ると、見知った顔がそこにはたくさんあって、全員が私に拍手を向けている。
探偵社やポートマフィアの皆に、組合の一分の人達…E組の皆まで。