第28章 少女のいる世界
「寝付けそう?」
『む、り…』
誰かさんのせいで、なんて憎まれ口を叩く気にすらなれないほどに。
「じゃあ寝付くまでまだキスしてていい?」
『…、寝れな……、くなっちゃぅ…』
「…目は座ってんだけどなぁ」
抱っこしてたら寝れそうに感じるし、安心するし今にも意識が手放せそうな程に満たされてはいるのだが…どうにも身体の感度が高まっているのがおさまらない。
呼吸がまだ上手く落ち着かせられなくて、少し息を吸うのに変に力を使ってしまう。
「息、まだしんどい?」
『し、どくな…「マシになってるのはしんどくないことにはならないからな」…ふ、つ…ぅ』
「すげぇ切れてんですけど」
撫でるのもなしで上体を起こされれば、そのまま彼にもたれさせられ、彼のからだで支えられる。
心地いい…
『…おふとん』
「たたき起こすぞ手前…」
『……たたくのやらぁ、』
「あー…今のは言葉のあやってやつで『てめーっていった』……蝶ちゃん、もしかして俺と話してたくて寝ないように煽ってる?」
素直にビクついた体が図星をさされて肯定してしまった。
『…ちよわかん、ない』
「……大丈夫だって、心配すんな。明日も明後日もその先も…寝てる間だってずっとここにいるんだから」
じんわりと、羞恥とは関係なく滲んだ涙に、自分でも驚いた。
その言葉を、これまでに何度も…何度も、何か別の要因から壊されて、邪魔されて。
『…ね、るの…やあ…っ』
「そんな泣かなくても……俺のことそんなに好きにさせちゃった?」
『す、き…、ちゅぅゃさ、すき…っ、だいす、き…』
「めちゃくちゃ甘えれんじゃん今日、どうしたのそんな可愛くなっちゃって…じゃあいいよ、特別に今日は布団になってやる。好きなように使え」
『……じゃぁちゅうやさんに監禁されたい』
「お前その夢は叶えちゃいけないやつな気がす『ダメなの?』…明日学校に呼ばれてっけど?」
『…ちゅうやさんと離れてどっか行くのやだもん』
「襲い直していい?」
『いい』
「…」
ゆったりと、しかし存分に感じさせられ、満たされて、意識の混濁とした中でいつの間にか眠れていたらしい。
しかしそれはどうやらあちらも同じだったらしく、翌日目が覚めてから、私は初めて経験するような事態に見舞われることとなった。
『……ッぁ、ぅ』
ナカに、入ったままだったのだ。