第28章 少女のいる世界
「へぇ、じゃあ今回うちの姫ちゃんのこと泣かせてくれちゃったの、平子さんだったんっスね?」
「そうや、反論もできんわ。まさか澪がここまで思いつめて…、?…ッ!!!?」
『……なんで来たの』
後ろから突然響いた、マイペースそうなその声。
面白いくらいに驚いたリアクションをする真子に対して、私は一気に胸が締め付けられるような緊張に苛まれる。
「だって姫ちゃん泣いちゃってたでしょう?魂不安定になってて心配だったから…ただでさえボクに会いに来るのも躊躇っちゃうだろうなって思ってただけに」
『不安定って、そんな大袈裟な…』
「だって、元々あったはずの核が今やもう四分の一…姫ちゃんの本来持ってる力が弱まることがないのに、それを抑えるための力がもう四分の一なんだから。不安定になりすぎたら…大変なんだからね?」
『…喜助さんなんかが心配しなくても、中也がいるから大丈夫よ』
「中也さんと何かあって甘えられない時が一番心配なんですけど?蝶ちゃん」
簡単に論破されて押し黙る。
確かに…現に今、真子相手にだってこんななのに。
それが中也相手にでもなったら。
「喜助相手じゃあかんのか?お前一応主兼元保護者やろ?一応」
「一応を強調しないで下さいよ!?…平子さんで無理なんですから、僕でも微妙でしょ?だから、もしもの時は無理矢理安全装置代わりに意識飛ばすよって、伝えておこうと思って」
『!…自分に甘えにこいって言わないんだ?』
「中也さんと何かあったから、ボクの中からも消えちゃいそうになっちゃったんじゃないの?」
困ったように言う喜助さんに、言葉がまた詰まる。
…言わなきゃ、ちゃんと。
中也にだって、それで傷付けたのに。
この人には、一番ちゃんと伝えなくちゃって…
『…、…あ、の……その…「…謝らなくていいよ。それも蝶ちゃんの選択の一つだからね…間違いだったわけじゃあないから。あんまら思いつめないで」…でも、』
「それで君が苦しみ続けるような道を歩むなら、ボクは確かに反対するけどね。…でも、それをそのままぶち壊してくれちゃう人がいますから」
『……ごめんね、勝手なことして』
「…あら、素直。…もう、ほんといい子なんだから…ねえ、チューしていい?」
『…三回以上すると流石に中也に殺されると思「一回でもアウトや阿呆!!?俺が殺すわんなもん!!!」ダメみたい』