第28章 少女のいる世界
「せやのにお前はぶっ倒れるわ記憶なくすわ…挙句の果てには俺らの中からほんまにおらんようになってしまいそうになるわ……、きっついで…?ほんま」
『…思い出して、後悔してない?私…いい子じゃないし……、可愛げ、ないし…』
「お前がいい子で十分可愛らしい奴なんてこと、尸魂界じゃあ俺が一番分かってることやと思うけど?他の奴らには理解させたくもないからああ言いはするけどな」
なんて理由だ。
そう思った直後のこと、彼の発言を思い出して羞恥に顔を熱くさせる。
『え…、は…?…い、まなんて言っ……?』
「おー、可愛らしい顔んなった。中也以外の男に見せんなや?そないな顔。俺が相手やからええけどよ」
『わ、私あんたのタイプじゃない…っ』
「誰がお前にタイプなんか教えてん、言うてみ」
『だって真子が可愛がる女の子、みんな決まって大人しくておしとやかで天然で優しくて、いかにも女の子って感じの子達ばっかりで…』
「俺がガチで惚れてる女に軽いノリで可愛いなんか言えるわけあるかい、お前の男の認識どうなっとんねん、中也かてかなり頑張ってるぞあれ?」
確かに彼も言うのは苦手だったりするが…しかしそれでも、中也の場合は私にしか本当にそういうことは言わないし。
『だ、って…喜助さん、とか色んな人のこと……真子だってそうで、…』
「あいつか…、あー…澪、そんな泣かんといてぇな。自信なくしてまうような言い方ばっかしてたのはほんまに申し訳ない……ただ俺、本気でそんな風に思ったことないから。お前以外の女にそういう気持ち持ったこともないし」
『それはそれで早く結婚した方がいいと思う…』
「一生独身貴族じゃボケ…ッ、……俺がああいう言い方してしもたから、おったらあかんと思ってしもたん?…そりゃ、持ち主である喜助はともかく、俺にそういう風に言われたと思ってもたなら…辛いわな、お前にとっちゃ」
撫でられる頭に、余計に素直にさせられる。
…弱いんだって、こうされるの。
『…いて、いいの?……邪魔じゃない?いらなくない?』
「誰がそんなこと言うた?おい、流石に自信なくしすぎやぞお前、俺相手に」
『……会う必要は、ないじゃない』
「…お前がたまにきて、そんで馬鹿みたいにツンツンしてくれな、俺も張り合いないんやけど?」
『ひよ里がいるじゃない』
「あれはゲリラ豪雨やからまた別やねん」