第28章 少女のいる世界
「なんだかんだ言って俺のこと好きやんなお前?」
『どの口がほざい、て…!!』
「探したでほんま、いきなり変な切り方してどっか行くし、すぐ霊圧消えてまうし…って、おい、なんでいきなり殴りかかっ…うおおおッ!!!?」
「ちょっ、澪さん!!?あ、あの!!隊長に何を!?」
馬鹿みたいな声が聞こえて、その姿を認識して、衝動的に手を出していた。
思い通りにならないのを子供みたいに反抗して…また困らせる。
『あん、たなんかッ…!!書類に埋もれて仕事と結婚でもしてればいいのよこのろくでなし!!!』
「おいっ、俺は結婚するならお前のこと忘れられるようになるような女に出逢ってか『私のことはとっとと忘れたいっての!!?っ、こっちがどんだけ必死で何も考えないようにしてるか分かってる!?』待て待て待て!!んなこと一言も…!!」
『それなら忘れたままいればよかったじゃないっ、…なんで思い出して初めて会って、気の利いた一言くらい言ってやれないわけ!!?…ッ、なんで、私がいないのが普通に、なってるわけ…、?』
目を見開いた真子に、ついまた涙声になったのがバレたのが分かって、顔を俯かせた。
こんなこと言いに来たんじゃないのに…、私、真子と喧嘩しに来たんじゃ、ないのに。
「お、前……、いや、普通って待てやほんま…お前がおらんくてそんな生活強いられて、生きていかなあかんのに……何が普通やねん」
『…っさい、たかだか二十年くらいならその程度でしょ……、こっちが…っ、…』
「……あー…すまん桃…と、澪と中也さえ良ければ中也も。ちょっと澪のこと借りていっても大丈夫か」
「俺は構わねぇけど、手前また蝶に変な事言わねぇだろうな?さっきだって扉作って帰ってくるなり、俺のとこに飛びついてきて泣き出して、大変だったんだぞ?」
あと手ぇ出したら殺す、なんて言う中也からは少し殺気が滲み出ていて、真子はそれに対してそれはそれはもう丁重に扱わせていただきます、なんてか細い声で返している始末。
『…蝶の中也さん取っちゃうの、?』
「は…?…いや、中也のこと取るなんか…どうしたん、どこにおってもらったら安心なん?」
『……十一番隊』
「…見事に…女のおらん隊なことで」
そういう察しはいいらしい。
が、ここで引き下がらないのが“優等生”。
「ちょ、ちょっと待って下さい…二人にって…」