第28章 少女のいる世界
「ふむふむ、あの日のことをねぇ…それで、柳沢のことまで思い出せたんだ?」
「実験の事についても、少しずつ思い出してきたそうです。なんとか落ち着かせながら様子見はしてるんですが…思い出すって言って聞かなくて」
能力の扱い方も思い出してきて、着々とそれを利用して、膨大すぎる量の記憶を思い出していく。
尸魂界を出てからこの世界に来るまでのあいだの事…そして、柳沢のこと。
片っ端から、拾い集めていく。
中也だって待ってる…中也が、待ってくれてる。
私は自分から向かっていくんだから、あなたの元になら全力で。
「なるほどねぇ…で、知恵熱出しちゃったんだ?」
『…首領、中也とってっちゃダメ』
「ああ、ごめんね?ただ、中也君がどうしても僕と話した『私より首領?』待って蝶ちゃん!!!凍ってるから!!?執務室の中で吹雪起きてるから!!!!」
「……姫ちゃん、今日は俺がつきっきりで手取り足取り看病してやれるぞ?二人っきりで」
『!!ほんと…っ!!?♪』
「わ、わかりや「本当。首領なんかより姫ちゃん優先」な、なんかって…!いや、いいよ中也君、それでこそ君だ…ッ」
『やったぁッ♡』
「「この笑顔のために生きてた…!!!」」
吹き荒れていた吹雪はどこへやら。
桃色の蝶々が舞う、舞う。
そしてまた中也がよしよしと頭を撫で回してくれてしまうものだから、嬉しいのがおさまらない。
『今日、姫が中也のこと独占できる!?あんなことやこんなことしたりされたりし放題!!?』
「そういう話は二人の時だけにしようか蝶」
『…しないの?』
「好きなだけしてやるよもう、何でも言え何でも」
「君達ほんっとブレないよね!!?安心したよ!!!」
首領の嘆きも無視して、挨拶だけして中也の背中に乗せてもらう。
『…肩車の約束は?』
「お前今フラフラしてるからダメ」
『ケチ。ケチ中也…!略してケちゅ「それするならお前このまま医務室に放置すんぞ」それしたら一週間口きいてあげない』
「俺がそんなことすると思う?無理に決まってんだろ」
『私がそんなことできると思う?禁断症状発症するよ』
目を合わせて、結局どっちもどっちでそんな事できなくて、また笑う。
熱出てるのに、こんなに楽しいことってあるんだ。
「何か食べたいものはありますか?」
『…!中也さんの白桃ゼリー!!』