第28章 少女のいる世界
『ほん、と…?ほんとに?嘘つかない…?』
「本当に。愛してる…じゃなけりゃお前の能力に力負けして、覚えてなんかいられなかったさ」
『…樋口さんやエリスちゃんのことも好きそうだったよ?』
「お前に良くしてくれっからな」
何その判断基準。
初めて聞いた衝撃の事実に、質問を増やしていく。
『じゃ、あ…立原も?クラスの子達とか…折り合い悪いけどイリーナ先せ……イリーナさんとか』
「お前に良くしてくれてる限りは敵じゃねえし、好印象だ」
『太宰さんは?』
「あいつは圏外、次元が違ぇ」
そこばっかりは譲れなかったか。
あんなに私に良くしてくれる人なのに。
『…中也って、ポートマフィアのこと好きでしょう?』
「首領が変わってからの話だがな」
『じゃあ、森さんとか…他の誰かから私の軟禁令とか…そういう類のものが出たら、どうする?誤魔化しちゃうとか?』
「ポートマフィアごとぶっ潰すために組織募って抗争仕掛けに行く」
思いの外ハードな問題にまで発展した。
だめだ、この話題はダメだった。
目が本気だ。
『……ポートマフィアも、探偵社も…この世界だけじゃなくって、全部の世界から私が敵になっちゃったら?』
「一緒に死ぬ」
『即答できちゃうんだ?』
「まあな。俺とお前はどう足掻いてももう離れられないんだよ…死んで、その後生まれ変わってもだ」
断言できてしまうのは、どうして?
そんな質問を素直にぶつけると、彼は微笑みながら教えてくれた。
「核の力に願い事する時、勝手に俺が願っちまったから」
『…?な、にを…??』
「…死んでも…死ぬ時も、それから生まれ変わったあとも、また死んでもずっと、……ずっとお前の魂と、巡り会えますようにって。結び付けられるようにって」
『……正気?』
「正気」
『…わがままね、ヒーローさんは』
ふと口をついて出たフレーズにデジャブを感じる。
…そっか、そんな事にこの力、使っちゃったんだ。
変な人、もっと他にも私欲のための使い道なんてあったはずなのに。
彼の体内にいたその時に、確かに願った。
彼が、ではない…二人でだ。
誰にも内緒のお願いごとを…自分のために、核の力を使ってしまった。
『中也…好きなものは?』
「お前」
『じゃあ、ほしいもの』
「それもお前」
『私もう貴方のものなんですが』
「それでもいる」