第28章 少女のいる世界
『ハ……、は、ぁ…ッ』
「…なあ、俺怒ってんだけど…なんでか分かる?」
『…分かんな…ッあっ…、!!』
指先から垂らされる紅い液体に、そしてその香りに、頭がクラクラする。
あ、やばい、これ葡萄酒だ…
「へえ、分からないんだ?俺に堂々と喧嘩売っといて白切れんのお前?」
『ぁ、あ…ッ…』
「…膝閉じて隠そうとすんな。それ禁止」
自分のベッドの上で、彼のシャツだけを身にまとって…そんな格好だと認識したのは、ついさっき。
彼の命令にはどうにも逆らえなくて、言われた通りにくっつけてピタリとベッドにつけていた両膝を外側へと離していく。
「違うよなぁ?分からないか?」
『…、知らな、い』
「!!…チッ、……そのまま膝、立てろ」
怒られは、しなかった。
怒ってるのに、変なの。
殴られくらいするかと思って思わず目を瞑ったのに、なんだか拍子抜けしてしまって調子が狂う。
どういうことだ、普通監禁って、もっと…
『………乱暴、しないの…?』
「…今のところはな」
彼のその返しに、何故か素直に膝を立てた。
羞恥で視界は開けられないが、それでも…なぜだか、応えるのが苦じゃなかった。
「んじゃ、さっきの質問…正直に答えろ」
『…、何も、言わずに…出てった、から…っ…?』
「言うと思ったわ。三十点…てなわけでもっと別の方向から考えてみやがれ」
俺は洗い物片してくるから、なんて言ってから、私の恥ずかしいところを一撫でする。
『ひゃ、…っぁ…!』
「…すっげぇヒクつかせてんの。もの足りねぇなら暫くこれで遊んでろ」
途端に下の突起にあてがわれる、冷たくて硬い無機物の感触。
…待って、この感触って…?
『ま、っ…そ、れ…ッ!』
「…嫌なのか?」
『!!!…っ、ち、が…ぁ……な、んでもない…です』
ごめんな、さい。
意味もなく、小さな声で、ふとそう言葉を紡いでいた。
「……ナカは?」
『へ、…ッッ!!!?な、っ…ぁ、まっ…そんなとこ触っ、あ…ッ!?』
「お前…もしかして、この世界に来てから“初めて”?」
『ッ、!!!!!』
どっちだ…この場合、どっちの返事が正解だ。
いや、けど確かこの人は私の旦那さんで…いっぱいそういう触れ合いだってしていて。
『そ、んな…初めてな、わけないですよ…』
「…それなら本当にこのまま放置していくぞ?俺」