第28章 少女のいる世界
「しっかし…お前相変わらずっつうか、そのキレの良すぎる頭は本当に…」
『何それ、貶してます?』
「褒めてるのが通りこされすぎてるだけだ」
上層部からの連絡待ちということになってはいるが、恐らくはその話で通せる…否、そうでもしなければ、恐らくもう殺せんせーを殺す手段はない。
更にいえば、訓練を積んでいた暗殺教室の生徒達…そして殺せんせーの留まる教室でさえ、存在しなくなる。
そうなるくらいなら、殺す力を持った者達の元で監視体制を整えておくに越したことはない。
それから烏間さんと殺せんせーに、別れる前、三月中に一度また学校に来てもらうと伝えられた。
日付はまたあちらから連絡がされるそうだけれど、何やら用事がまだ残っているらしい。
…まあ、裏口入学のようなものだし当然か。
なんて呑気に考えながら、ポートマフィアの拠点に到着。
とりあえずは、私の記憶がある程度戻ってきたことの報告をしに行こうということだ。
「!中也さん…それに蝶も!!」
「おう、立原か。なんか久しぶりな気分だな」
『なんだ、立原か。あんたの顔はもう見飽きたわ、三日くらい見なくていいよ』
「てめ…ッ!!!…!!?お、おまっ…お前、記憶…!!!」
その生意気な口ぶりに俺を下に見下しまくった態度は…!!
なんて言いながら、目を潤ませて何故か嬉しそうにする立原。
『…あの、大丈夫?なんでそんなに喜んでるの…そういう趣味?』
「あーもうなんでもいい!!やっぱりお前はそうじゃなきゃ気持ち悪ぃ!!」
気持ち悪いって。
立原に続いてやってくる銀さんと広津さん…そして、首領室から出てきた樋口さんも、立原に教えられて少し記憶が戻りつつある状況を知る。
「そうですか、記憶が…っ、蝶ちゃんも…中也さんも、本当に良かった!!」
「樋口もかなり心配してくれてたもんな、さんきゅ」
「いやいや、蝶ちゃんのためですから!!…!あ、中也さんのためでもありますが」
「ついでかよ、俺一応上司なんだが?」
やいのやいのと、楽しそう。
中也さんは立場の割に、年齢もあってか気さくなところがやはりある。
知ってた…と、思うんだけど。
「…それはそうと蝶ちゃん、これからどこへ?」
『!あ…首領に、一応現状報告にと思って』
「それなら、丁度今が都合がよろしいかと…これから任務も入ったし、片が着く前に」