第28章 少女のいる世界
私と貴方の中にあるエネルギーが同じ量なら、本当に生涯共にできるように生きられてしまう。
こんなものを、一生に背負ってくれちゃった…それどころか、半分も……文字通り、ぶっ壊してくれてしまった。
感謝しか、ない。
おかげで私は、死ぬまでこの人と…
『そういえば、殺せんせーの暗殺って結局どうなったの?』
「あー、それなんだが…見ての通り、これが答えだ」
『成程?地の盾は中也さんが汚濁でも使って壊してくれちゃって、その結果天の矛から逃れた殺せんせーによって計画は振り出しに…政府もどうにも出来ず、私がこの通りだったから誰も暗殺も開始せず…?』
「よくそこまで分かったな、流石蝶さんだ…君は、この超生物をどうしたい?」
『…生きることに幸せを感じられるのなら、生きているのも良いのかなって』
ちょっとだけ、思うようになった。
生きていても、独りだったら苦しいだけで。
けれど、彼が生きたいと…何かを成し遂げたいと、思うのであれば。
「そうですねぇ…それなら先生、武装探偵社に就職したいです」
『そうですか、なら斡旋しておきます』
「「…いや、待て!!!?」」
なにがですか?と問うと、真っ先に烏間さんから言葉が飛ぶ。
「いいのか!?大丈夫なのかそれは!!?こう、…世間体とか!!!」
『大丈夫ですよ、世の中どうとでもなりますし。なんなら私が殺せんせーの身体造り変えて、この触手やマッハ二十のスピード…後天的なこの身体の能力全て、異能力にしてしまえば解決でしょう?』
「「!!!」」
ないわけではなかったのだ、殺せんせーを暗殺されないようにする方法。
ただ、私が…紅姫としてそれを、この世界で成し遂げることができるとは思わなかっただけで。
卍解が扱える状況になった今、私の力は科学技術でもなんでもなく、喜助を除く他人に使われる心配もないため、この手は使っても問題ない。
『そうすれば、武装探偵社にはアンチ異能力者の太宰さんがいますから……ね?政府的にも、好都合でしょう?いざとなったら全開で闘えるようになった私が能力で差し押さえられますし』
身体が爆発してしまうかもしれない可能性だって、零にしてしまえば問題ありません。
言い切ったところで、中也は何も言葉を発せず…烏間さんは冷や汗を流しながら、一言。
「…上層部、に……持ちかけて、みよう…ッ」